コラム

【生活のSDGs】シリーズ「発酵からサステイナブルを考える」①

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こんにちは。
「毎月15日に更新」という目標を失念し、すっかり月末の更新でペースをつかんでしまいました。

今月は「発酵」の話をしていきたいと思います。
そしておそらくこの話は今月だけでは終わらないでしょう。
「発酵からサステイナブルを考える」は四ヶ月程度の長期シリーズとなる予定です。

なぜならいま僕はこの「発酵」というものに、どっぷりハマりかけているからです。

更新ペースどころか、「毎月SDGsの目標をひとつずつピックアップしていって語る」という大前提のルールすら無視して、これから数か月かけて発酵について考えていきたいと思います。
なぜならこの連載の名前は「生活のSDGs」であり、生活というのは当人の望むと望まざるとにかかわらず刻一刻とその状況を変えていくものですし、そうした変化を柔軟にとらえ軽やかに乗りこなすことこそがサステイナブルな態度というものだからです。
僕の生活はいま「発酵」を中心に回り始めようとしています。
むろん、僕の「個人でできるSDGsってどんなだ」「生活の持続可能性とは」「そもそも諸行無常の世の中にサステイナビリティは実在しうるのか」などといううやうやした考えごとも、すべて「発酵」を起点として発展をとげようとしているのです。

今月はそもそも「発酵とはなんだろう」というところから、僕が「発酵」に見出している無限の可能性の一端をご紹介していきたいと思います。

【シリーズ目次】
Ⅰ.そもそも発酵って何? (今月はこれです)
Ⅱ.「発酵」として考えられるもの① 禅、量子力学、カスタネダ(10月更新予定)
Ⅲ.「発酵」として考えられるもの② 贈与経済、相互扶助社会(11月更新予定)
Ⅳ.「発酵」を通じて拓ける道 じぶんの「生き方」をDIYする(12月更新予定)

Ⅰ.そもそも発酵って何?

発酵と言われて何を思い浮かべるでしょうか。

納豆?味噌?ヨーグルト?チーズ?
どれもたしかに発酵食品です。
ほかにもお酒やキムチ、醤油にお酢、さらにはジーンズの藍染なんかも発酵です。
ぼくはつい最近まで発酵のことを「しばらく置いておくと味が良くなったりするやつ」くらいの認識しかありませんでした。

なんで放っておくと味が良くなるのか?
『もやしもん』を読んでわかったのは、どうやら微生物や菌がおいしくしてくれているらしいということ。

そう、発酵というのは、ざっくりいうと「微生物や菌などの目に見えない生き物のはたらきで、人間にとってうれしい何かが生み出されること」だったのです。

ここでいう「はたらき」とは代謝のことです。
肉眼では到底見えないような小さな生物たちも代謝を行っているのですね。
代謝というのはなにかというと、さまざまな物質を分解したり組み立てたりすることでそこからエネルギーを取り出て生きる糧とすることです。

代謝はおおきく三種あり、呼吸、光合成、そして発酵です。

僕たち人間が酸素を使って糖類をエネルギーと二酸化炭素とに分解して二酸化炭素を「ゴミ」として吐きだす(呼吸)ように、微生物たちもエネルギーを得るために物質を分解する過程でさまざまな「ゴミ」を出します。
しかしこの微生物にとっては「ゴミ」でしかないものが、人間にとってはとびきり嬉しいもの、おいしいものであることがあって、そういうとき、僕たち人間はこれを「発酵」と呼ぶのです。
ちなみに、その「ゴミ」がうれしくないものであるとき、これを「腐敗」と呼びます。

微生物からしてみれば、自分たちにとっての「ごちそう」から自分たちに必要なものだけを体に取り込んで、いらないものを捨てているだけで、そこには発酵と腐敗の区別なんてありません。
微生物が出した「ゴミ」を「発酵」だとありがたがるか「腐敗」だと迷惑がるか。
これはまったく私たち人間の心持ち次第なのです。
このようにものごとのどんな性質をありがたがって、どんな性質を迷惑がるのかという心持ちの在り方を、文化と呼びます。

僕の大好きな納豆が、ほかの国の人たちから見たら「腐って」いるようにしかみえないなんていうのも文化の違いからくるものです。
「こんなの腐ってるじゃないか!」と言いたくようなものを、ほかの誰かはおいしそうに食べている。
これまで知らなかった世界の発酵文化を知ることは、これまで自分には見えていなかった世界の豊かさを発見することと同義なのです。

多くの豊かさにアクセスできることは、そのまま自分の生活の豊かさに通じます。
生活の可能性の拡張をももたらすもの、それが「発酵」です。
来月からは「発酵」から広がる多様な「世界」へのアクセスを試みてみましょう。

 

ー「発酵からサステイナブルを考えるⅡ.「発酵」として考えられるもの 禅、量子力学、カスタネダ」はこちら!ー

 

町でいちばんの素人

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投稿者の記事一覧

柿内 正午
91年生まれ。26歳になり物心がついた2017年ごろからものを書き始める。
言葉を売買する会社・もっとmots( @motomots )契約社員/零貨店アカミミCEO(開店準備中)/町でいちばんの素人/都市型密猟者

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