ソーシャルフェス

SDGsの追い風はフェスにある。後編

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こんにちは。あめみや(amemi_c5)です。

前編ではSDGsについて、そしてSDGsをミレニアル世代に広げていくアプローチについての考えを書きました。

後半ではより具体的な考えの共有と事例や展望、この時代におけるフェスの意味などを考えていきます。

もくじ
・SDGsとは何か
・現状の日本の取り組みと課題
・ミレニアル世代に変革を求めるアイディア
-後半ここから-
・ソーシャルフェスという提案
・どうしてフェスティバルなのか
・ソーシャルフェスの事例紹介
・Ozoneについて
・ソーシャルフェスがもたらすインパクト
・おわりに

・ソーシャルフェス®という提案

ミレニアル世代に変化を促したいなら「課題の啓蒙」より「希望の体験」と書きましたが、世の中を変える方法はざっくり2つあると思っていて、1つは「危機を煽ること」1つは「楽しくて仕方がないこと」。「ノストラダムスの大予言」も「ポケモンGo」も等しく世の中の流れに変化をつくりましたが、どちらかというと痛みの少ないほうが好みなので後者の方向性から「希望の体験」と提案しています。

では具体的にどうするの?というところで考えたのが「SDGsが終わったあとの世界をフェスにする」という方法でした。SDGs17個それぞれの課題が達成されたあとどんな良い世の中になってるのかまではSDGsに記されていません。要は壁だけを見せつけられてる状態です。そこで「魅力的な問い」として前述のような概念を「ソーシャルフェス®」と名付けプロジェクトを開始しました。

ソーシャルフェス®は1つのフェスの名前ではなく17個のSDGsゴールそれぞれが達成されたあとの世界をフェス化していく「フェスづくりプロジェクト」です。ソーシャルフェス®は下記のように定義していて、SDGsの持つ「普遍的」で「不可分」で「変革的」という信念を同じくしています。

ⅰ.普遍的
1* 17のゴールのうちいずれかをミッションとして設定している。
2* 上記で選んだゴールから更に詳細のターゲットとなる課題を1つ選びその課題が達成された世界を想像しコンセプトとする。
3* ミレニアル世代が感覚的に「楽しい」と思える企画である。

ⅱ.不可分
4*選んだ課題は他の課題とも紐付いていることを意識する。
5* 遊びと学びを区切らずシームレスに体験できる。
6* 意思ある全ての人の参画を受け入れる。

ⅲ.変革的
7* 非日常として終わらせず、日常の行動を変えるよう仕掛けをつくる。
8* 参加者はつくる側へ促していく。
9* まずは自分が対象とするSDGsが終わったあとの変化となる。

ソーシャルフェス®は「課題」「希望」「体験」の3つのフェーズから企画を考えていきます。「課題」では17のゴールから1つを選び、更にそのなかからターゲットを1つ選びます。

「希望」ではそのターゲットに対して具体的に取り組まれている事例をリサーチしつつ、実際に現場でその課題に取り組んでいる方々と話し合い、達成されたあとどんな良い世界になっているのかを具体的にイメージしていきます。そして「体験」ではイメージされた希望を今できる体験として共有するにはどういったことができるかを考え、フェスという枠組みのなかでデザインをしていきます。

上図のプロセスで企画したフェスは実際に開催したもので、千葉県山武市の有機野菜畑を会場に畑のオーナーと顔の見える消費を目指す株式会社ベジリンクさん、そしてこの課題やコンセプトに関心のある人たちがSNSの発信から集まり、合同で企画し開催しました。

詳細は後述しますが、多くの参加者に地産地消の豊かさや地球との一体感を感じたと感想をもらいました。まずこういった体験があったうえで、SDGsという課題を共有することでSDGsがどんな世界を目指すための課題なのかが自分ごととしてわかってきます。

そしてソーシャルフェス®の重要なポイントは「ユーザーからクリエーター」になることです。ソーシャルフェス®︎は事前にフェスの世界観を共有し、参加者はその世界の住人としてフェスに参加をしてもらいます。それ自体がエンターテイメントになり、世界を自分ごと化していく実践になっていきます。

また「ソーシャルデザインとしてのフェスづくり入門」通称「SF」というワークショップも定期開催していてフェスの来場者を中心に参加いただいています。

「自分だったらどういう課題に関心があって、その未来をどう表現するか」それをあくまでフェスというエンターテイメントの形でクリエイトしていく技術を共有し、企画の種をつくり、参加者のコミュニティのなかで実際の運営チームまでつくれます。

このように「楽しそう」なことを入り口に体験として「想像機会」をデザインして、実際に参加者が「つくれる」ところまで機会をつくる一連の概念を「ソーシャルフェス®」としています。

これまでの社会活動は「①課題の啓蒙→②善意の働きかけ→③クロージング」で終わりがちでしたがソーシャルフェス®は①快となる入り口→②希望の体験(正の動機付け)と課題の発見③コミュニティ醸成と小さな一歩→④ビジネス機会の提供→①」を通して循環するソーシャルデザインを狙っていきます。

・どうしてフェスティバルなのか

フェスティバルは広義だと「世俗的な催事」と辞典には記載されていますが、ここではフェス=音楽フェスティバルとして扱っています。なぜ音楽が必要なのか、どうしてフェスティバルである必要があるのか。その理由は音楽フェスティバルが世界で初めてつくられた時代まで遡ります。

現代でいうフェスティバルの元祖は70年イギリスで開催された「グラストンベリーフェスティバル」。今も毎年開催されている世界最大規模のフェスの1つです。そしてこの2年前「史上最も影響力のあった環境写真」とされるアポロ8号の撮った「アースライズ」が世界を回りました。

それまで広大で揺るぎない大地と思われていた地球ですが、この写真でみる地球は小さく儚く美しいもので、地球は有限で守らなければいけないものだと、人類の大きな意識変革が起こったとされています。そしてこの翌年、人類最初の大規模な環境活動「アースデイ」が生まれ、ウッドストックフェスティバルという現象が起こり、それを現象としてでなく意図的にオーガナイズしたものが「グラストンベリーフェスティバル」です。

グラストンベリーは反体制派のパンクスたちの思想の影響が強いとされていて、彼らはグリーンフューチャーという言葉を持ちいて地球と共生する未来を表現していました。ソーシャルフェス®の「理想の未来を一足お先に体験する」というコンセプトは実は、フェスティバル発祥当時のリバイバルを試みているにすぎないのです。

そして音楽は人類が結びついて協働していくために不可欠なカルチャーだと思っています。人類史も諸説あるので正しさの判断はそれぞれ行って欲しいのですが、音楽、そして踊りは「あなた」と「わたし」が共同体であることを感じ、それぞれの村や集団の社会を構築していく上で必要な儀式として世界中で用いられてきました。(世界中全ての民族に共通して歌という文化があるそうです)

名前も知らない隣の人と話してもいないのに深く繋がっている感覚を、音楽フェスやクラブが好きな方は一度は味わったことがあるはずで、SDGsよりも前にまずはその感覚が絶対に大切だと思っているので音楽は前提としています。

・ソーシャルフェスの事例紹介

では具体的にどんなコンテンツを開発してきたのか事例を紹介していきます。

「サイレントフェス®」という専用のワイヤレスヘッドホンを参加者全員に配布し、DJの生ライブをオンタイムで最大300名に共有する周りから見ると無音に見えるフェスはSDGs10にコミットしています。

SDGs10/Target2にある「人種、文化間の差別」が終わった未来には
コスモポリタン(地球市民)的な思考が共有されていると想像しました。
その感覚を共有する体験として、全員がヘッドホンをつけ言葉をなくしたライブで非言語コミュニケーションを活性化させ、より一体感を強化しました。

そしてサイレントフェスの個でありながら全であるライブの在り方は、文化の壁を尊重しながら越えていく重要な気づきが得られる環境です。

そしてTarget①の経済格差の課題については「Live Stock」という仕組みを考案しました。経済格差が緩和された未来には
シェアリングエコノミーの発達による所有から共有へのマインドシフトが起こっていると想像し、サイレントフェスの
チケットは富のある人がない人へギブするため、あらかじめストックしておける仕組みを導入しました。そのチケットは「フェスに行きたいけどお金がない」人が誰でも使用することができます。また、ストックされたチケットが3回使われるごとに
1枚分のチケット料金を「NPO法人かものはしプロジェクト」へ寄付し、誰かの優しさが、そしてその優しさをちゃんと受け取ることが、世界の不平等の緩和にも繋げています。

先ほども事例にだしていた有機野菜畑で開催するフェスは「Mud Land Fest」と言います。地球を土と水でできている泥の国とメタファーして、畑の一部を泥だらけにさせてもらい野菜が生まれた場所へ埋まりにいくをキャッチコピーにして夏に開催しています。

まずはTarget3のフードロスの課題についてですが、1人あたりの食料廃棄が半減された世界では「顔の見える消費」が普及し「もの」だけでなく「ものがたり」として商品を購入している価値観がメジャーになると想像します。

畑という場所を最も新鮮な「ものがたり」が買える場所として機能するように、エンターテイメントの要素を加え人が集まる場所にして、生産者の方との接点を増やし、畑の1部を泥だらけになって遊べるように解放して、DJブースを設置して周りの農家の人も、都会から自然を味わいに来た人もみんな泥まみれになって一緒に踊れる場(フェス)となるよう企画しました。

畑の野菜はそのまま抜いて食べ放題。最初と最後に農家の方からのお話の時間をつくり、一緒に泥だらけで踊ることで野菜を食べることへの意識は日常に帰っても忘れません。

そしてTarget5の廃棄物の削減については「消費の見える化の普及」という未来を想像しました。フェスでいうと飲み物を買う際にプラコップが大量に消費されるので、これの未来を見える化(体験化)してみました。

基本的にはマイコップの持参を促しているのですが、コップを忘れプラコップを利用される方にはプラコップが1つ生産される際に排出されるCO2と同じ重さ153,4g分の重りを足につけてもらいます。炎天下のなか重りをつけて踊っているとつけている人は温暖化していくので、自分温暖化ということで消費の見える化を計りました。

その他にも「Quantum」という量子力学をコンセプトにした野外フェスSDGs7/bの未来として「電磁力発電を利用したフリーCO2のオフグリッド発電」を実践して音響のエネルギーとしてみたり、SDGs17/Target3の未来として「クラウドファンディングと地域通貨とベーシックインカムを組み合わせたフェス内ベーシックインカム」を実践して、参加者にお金を配るフェスを作ってみたりしました。

2017年11月にはSDGs11/Target7の未来としてみなとみらい「クイーズパーク」を貸し切り”難聴の方でも聴こえやすいスピーカーを使った無料の野外音楽フェス” 「Sooo Sound Festivalを開催し、障害を持った人が補聴器をつけたり行く場所を制限してしまう都市ではなく、公共空間で聴こえる音は全ての人に”聴こえる”方が当然かっこいいでしょという表現をしています。障害の有る無しに関係なくみんなで遊びました。

上の動画は2018年8月に(公財)大田区文化振興協会さんとコラボさせていただいた「Neo盆踊り」
SDGs15/7の絶滅危惧種の保護に関する課題の未来を表現しています。盆踊りはそもそも死者の霊を祀る儀式として行われてきたという説がありますが、年間4万もの生物が絶滅する現代において人間だけでなく、全生物圏まで意識を拡張して”全ての命を祀る”盆踊りがある世界を具現化しました。参加者は持参した好きな動物のお面や、絶滅危惧動物のお面をつけてその動物に成りきり、櫓の上にいるDJの流すダンスミュージックに乗って、神殿のような櫓を輪廻するように廻って踊ります。お面を外すと裏側にはその動物の絶滅状況が書かれていて、楽しいことには裏があるというメッセージも。

 

・ソーシャルフェスがもたらすインパクト

音楽だけで世界は変わりませんが、音楽がなくては世界は変わりません。

ソーシャルフェス®は社会問題とフェスティバルカルチャーのエントランスとしての機能を持ち、ミレニアル世代の想像と創造の機会を最大化することを狙います。SDGsが政府やNPOの力だけで達成できるものなら、草の根的にコミットを広める活動は不要かもしれませんが「誰も取り残されない世界」のためには、社会課題に意識の高い人だけでなく一般企業の社員も、テニスサークルの学生も、クラブ通いの女の子も、すべての人が少し遠くの世界や未来まで想像していくことが必要です。

世界とは紛れもなく1人1人のセカイの集合であって、それぞれの半径3mほどのセカイが平和でご機嫌であることがまずは重要です。

利他とは溢れ出た幸福の結果であり「楽しいこと」はまず、それ自体に大きな価値があります。

ソーシャルフェス®は意味とブランドを守るため商標登録をしていますが、コンテンツを独占するつもりはないです。ワークショップを通じて全国にオーガナイザーを増やし、新しいソーシャルデザインの手法として、また「とにかくパーティーを続けたい」人たちのブランディングの手段として、教育機関においては実践社会学習の一環として、幅広く使われていくことを望んでいます。

ゆくゆくはweb上に開催情報や求人情報をまとめたサイトをつくり、人が循環する仕組みをデザインして、SDGsを通して企業や行政ともマッチングさせ、産学官民がそれぞれのリソースを提供して協働できるプラットフォームにしていければ、と思っています。

独自のルールやコミュニケーション、経済や政治に至る、社会のおおよそ全てがフェスティバルには包括されていて、理想をハレの場に表現しつづけるとそこには独自の文化が生まれ、やがて日常へ転換していきます。

・100年後へのビジョン

フェスティバルは文化の創世記
理想の未来を一足お先に作ってしまおうとデザインされた試みでした。
名前も知らない多様な人々が互いに助け合い、高め合い、歌い
楽園は心の内にいつでもあることを感じ、自と他も地球も分け隔てなくケアをするという文化でした。
ほんの数日限りのフィクションですが、僕はそこに響育的な価値と
忘却してしまった大切なものを見つめる、眼差しの力を感じています。

ソーシャルフェスプロジェクトは当時のリバイバルでもあり
SDGsを通して更に具体的にアップデートした仕組みでもあり
2分化してしまった遊びと学びを融解してしなやかにそうぞう機会を日常へ拡げていきます。
楽しい体験は消費に終わらず「僕らはどこへ向かうか」という問いを投げかけてくれるものと思うのです。
感性に問う問い通して、優しく変化し続けられる世界を100年後に見ています。
フェスティバルカルチャーは未来はまだ先のものではなく
今ここでつくるものだということを教えてくれます。
フェスティバルカルチャーを社会へ

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あめみー

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92年生まれの水瓶座。Ozone合同会社代表/Oxygen編集長/DJ。
ソーシャルフェス®といってSDGsが終わったあとの世界をフェスにする活動してます。無音のフェス「サイレントフェス™」や量子力学的フェス「Quantum」などなど全国各地でプロデュース。猫背。歯医者が怖い。

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