ここ数年で、「コミュニティづくり」に対する関心は大きく高まりました。企業と顧客のつながりの変化や、地域の活性化など様々な文脈でコミュニティを作ろうという動きは活発になっています。
そうした中で、オンライン上だけでなく、リアルな場所づくりとして、多くの若い世代を惹きつけているのが「村づくり」。
仮想通貨・ブロックチェーン技術の普及なども相まって、独自の経済圏が各地で生まれていく、そんな流れもこれから活発になっていくのではないでしょうか。
「村づくり」というワードは、冒険心をくすぐるような、そんな響きを感じさせます。言うなれば、小さな頃に近所の友達と秘密基地を作ったような。
しかしながら、そうしたキラキラしたイメージに対して、大変な部分も多いのが村づくりのリアルです。
・村づくりの中で生じる人間関係の難しさ
・村を継続させるために、資金をどのように調達していくのか
・村づくりの「終わり」に対してどのように向き合うのか
こうした苦労と向き合うのは、難しく、そして辛いことかもしれません。しかしながら、村づくりを志す人にとっては必ず直面する課題とも言えるでしょう。
「これからますます増えるであろう、村づくりを志す人たちに対して、そうした村づくりのリアルな部分を伝えたい。それらを活かして、前へ進んでほしい」
そんな背景や思いから、今回「村の続け方と終わり方」というテーマで対談が行われました。
語ったのは、エコビレッジSAIHATEのコミュニティマネージャー、坂井勇貴さんと、「あの村」の元村長、堀元見さんです。
この記事では、その対談の模様をお伝えします。コミュニティづくりを志す方の参考になれば幸いです。
村の続け方
サイハテは土地のオーナーがいて、そこで「村を作らせてもらっている」感じ
――まず、村の始め方という部分から、話は始まりました。
坂井:サイハテの場合、初期費用というよりは、まずは場所を買うことからスタートしましたね。発起人の工藤シンクが、ツイッターで「村を作ろう!」と呼びかけました。
誰か1人に施設を買い取る1,000万円を出してくれってところから始まったんですよ。
結果的に、1人の人にオーナーになってもらって、そこからサイハテがスタートしました。なので、オーナーがいて、ぼくらがそこでサイハテという村を作らせてもらってる感じです。
坂井 勇貴
1984年3月生まれ、長野県出身。 “つまらなそうな大人達が作る社会”に疑問を抱き、ルールを知るために法律専門学校に進学。卒業後、沖縄移住や国内外での旅を通して、文化と自然・身体と精神が調和した、争いの無い平和な社会作りを仕事にする事を決意。2015年から、アートとクリエイティブ、リアルとWEBを融合させる「最先端な田舎暮らし」として注目を集めるエコビレッジSAIHATEのコミュニティマネージャーへ。運営や企画立案、メディア戦略、ブランディング、マーケティングなどを担当。2018年7月から日本発のエコビレッジを繋ぐNCU-次世代型コミュニティ大学を開校。コミュニティの知恵を集め、「いつでもどこでも」学べるオンラインキャンパスを運営する。
坂井:サイハテの場合、資金面で巻き込んだのはオーナーだけなんですよね。あとはスタートして自力で運営していくという形で。全員がそれぞれ、自分のやりたい企画を立てて、資金は自分で出すとか、クラウドファンディングするとか、出稼ぎにいくとか。
工藤シンクが最初クラウドファンディングで、土地費用1,000万円を調達するところから始めようと思ったときがあったんです。でもしなかった。なんでかというと、彼が、責任を背負って始めるのが嫌だったから。
堀元:お金を集めてしまったら、発起人の責任みたいなものですもんね。
坂井:村づくりってなったときに、会社みたいに株主がいっぱいいて、その人たちの意見を聞いて運営していくっていうことになんとなく不安があったということもあって。
そういう意味で、「あの村」のクラウドファンディングが始まったときに、「ついに来たか!」って思ったんですよね(笑)こういう形で村作りを始める若者が現れたぞと。
堀元:そうだったんですね。ありがとうございます(笑)
あの村は、一貫して「営利事業」としてやっていた
坂井:「あの村」は、スタートするにあたって、多くの人を巻き込む形だったじゃないですか。そこが始め方としてサイハテとの違いかなと思っていて。これから始める人とかのためにも、そういう意味で、サイハテと違う部分とか、苦労した部分とかを聞きたいなと。
堀元:サイハテさんとの大きな違いとして、僕らは「あの村」を営利事業としてやりたかったんですよね。そこは一貫していて。だから、月額会員の村民を迎えるスタイルでやっていました。
そうなったときに、何が一番問題かなって考えると、運営の仕方だったと思っています。
「お金を払ってもらっているから、おもてなししよう」という気持ちが強くなってしまったんですよ。
提供するサービスの量と、顧客から取る値段が全然釣り合っていなかった。
堀元 見
1992年4月30日生まれ。沖縄生まれ北海道育ち。暑がりで寒がり。
2016年に慶應義塾大学理工学部卒業後、就職せずに独立。「あそび作り」を仕事にし、数々のイベント企画などを実施。その一環として始めたDASH村体験企画「あの村」が好評だったので、常設の事業として運営開始。しかし一年間で事業を撤退し、売却に至る。その経緯を書いた記事(https://ken-horimoto.com/20180620221733 )は8万人に読まれて話題を呼んだ。
坂井:なるほど。もう少し具体的に聞きたいです。
堀元:例えば、あの村の場合、土地の性質的に、道がかなり泥でぬかるむ土地だったんですよ。なので砂利をまくとか、転落した車を助ける、とかそういった思わぬ雑用が発生しまして(笑)
坂井:楽しいことばかりじゃないですよね(笑)
堀元:そんなときに、相手にお客様意識で来られてしまうと、こっちの発生する雑用が全然割に合わなくなってしまうんですよね。
もらっているお金は、僕らの雑用に対して発生しているお金では無くて、村作りできる権利に対して発生しているんだっていう認識を最初に取ることができれば、こうはならなかったんだろうなって思います。
最初に「雑用は僕らの方でやっておきますんで!」といった対応をしてしまったので、途中から軌道修正することもできず。
坂井:村民だけど、お客様みたいな関係性になってしまったんですね。
堀元:そうですね。月額6,200円という単価でやるのであれば、この関係性はまずかったなと思います。おもてなししよう、というマインドは捨てた方が良かった。
もし、おもてなしするスタイルで行くのであれば、もっと振り切って、グランピング業者みたいな形を目指すのが良いのかなと思います。単価ももっと上げる形ですね。
これが、今回村づくりをしてみて強く感じた部分です。
始めるうえでまず大事なのは、「仲間を集めること」
――会話は、村づくりにおける「仲間」の存在についての話題に。
坂井:個人的に、村づくりでまず一番大事なことって、「仲間を集めること」だと思っています。
本当に見たい世界、ビジョンを語り合って、「この人だったら一緒にやれる!」って思える人と始めること。これは仕事でも一緒だと思うんですけど、この人合わないなって人とは一緒にやりたくない。
本当にこの人とだったら楽しくできるとか、ビジョンや熱量が同じところにあるかどうかって大事だなと。
もう一つ欲しいのは経験値ですね、例えば小学生と大学生とかじゃ一緒にやれることって限られてきますよね。だからある程度経験値が同じっていうのは上手くいくと感じています。
「あの村」では、色んな人と協力して村づくりをしたと思うんですけど、そこで「人生かけて村づくりします!」みたいな仲間っていましたか?
堀元:結果から言うといなかったですね。後半、終わる直前ぐらいになってから、「野蛮人求人」っていうのを出したんですけど。
ざっくり言うと、「山奥で好き勝手暮らしていいですよ~。食費滞在費ゼロです」みたいな感じですね。
これは結構人気あって、実際に3ヶ月ぐらい住んだ人とかいたんですけど。その募集に来た人以外はいなかったですね。
坂井:なるほど。あの村と比較したときに、サイハテの場合、住人を募集して、集まって住人になった人が勝手に村作りをしていくっていう形を取ったんですよね。
堀元:やっぱりその方が勝ちパターンというか、上手くいきやすいかなっていうのは、やってみて感じました。
住人主導での村づくりでは、母屋がある状態でのスタートできると良い
坂井:住人主導で村づくりをしていくってなった場合、ある程度母屋があるのが結構重要だなって。10人ぐらいがすぐ寝泊まりして、暮らせるっていう環境があれば、その方がやりやすいかなと。
堀元:それは間違いないですね。
坂井:なので場所的には、山を買い取ってゼロからやるよりは少しハードルを下げてみるのが良いかなと。
つぶれたキャンプ場みたいな、ある程度インフラが整っている場所。そこをどう変えていくかっていう方がこれから村づくりとしては出てきそうですね。
堀元:そうですね。間違いないんですけど、結局そんないい条件の場所が無いんですよね(笑)やりたい人は土地探し苦しんでるんだろうなっていう印象です。
坂井:難しいですよね(笑)これからどんどん廃村であったりは増えてくるので、そうした場所を有効活用する可能性には期待したいなと思います。
堀元:そうですね。消えてしまった集落とかだったら、やりやすいかもしれないですね。
村の継続を左右する「人間関係」に対して、両者の捉え方
坂井:村づくりの洗礼的な部分として、サイハテもそうだけど、人間関係、資金源っていうのが、洗礼として自分的にはあったり。
堀元:そうですよね、やっぱり。
坂井:村づくりは、何してるかって言ったら「コミュニケーション」だなって思ってて。
それぞれが自分のしたいことをコミュニケーションしていく中で、生まれてくる行為の総体が村づくりだなと思うんです。だからコミュニケーションっていうのがものすごい大事で。
堀元:うんうん。
坂井:コミュニケーションが悪い状態だと、まあ村の中の空気感は悪いし、村づくりも全然進まないし、なんか負のスパイラルに陥ってくると。そこらへんで、堀元さんのスタイルとか、起こったこととかそういうのを聞いてみたいなって。結構合理的っていうイメージはみんな持ってますよね。
堀元:そうですね。よく言われるのは、「感情が無いんじゃないか」「サイコパスなんじゃないか」みたいな(笑)
坂井:はははは(笑)副村長とも、他のスタッフとも揉めていたと思うんですけど、個人的にはどのように解釈してるんですか?
堀元:これもまた、経営者寄りの話になってしまうんですけど。スタートアップ界隈の格言として、「売上はすべてを癒す」っていう言葉があるんですよ。僕らの場合はスモールビジネスでしたが、結局は同じことだなと思っています。
坂井:なるほど。
堀元:事業としてやっているときに、人間関係が上手く行かなかったっていうのは、積み木の一番上の問題でしかなかったと思っていて。ビジネスとして上手く回っていないから、発生すると。
例えば、スタッフとギスギスした原因の1つとして、僕のデスクワークがあるんですけど。
みんなが豚の丸焼きしようとか、そういったことをやろうとしているときに、僕が部屋に引きこもってパソコンをガチャガチャやっていると。
坂井:ははは(笑)
堀元:これは僕からするとすごい合理的な話で。管理責任追うやつはお前が既にいるんだから、俺もそこに行ったら経営資源の無駄だよねと。まぁサイコパスなので(笑)
坂井:(笑)
堀元:だったら、その時間使ってメッセージ返したりとか、広報の努力とかをしたほうがいいじゃんっていう話になるんですよね。これって結局ビジネスとして上手く回ってないから起きる話であって。
坂井:はい。
堀元:もし「あの村」がある程度十分に儲かってたら、僕も経営資源云々言わずに、余裕あるから、リソース多少無駄でも良いやって感じで一緒に遊べたと思うんです。
結局営利事業の中で、人間関係が上手くいかなくなる原因って、ビジネスとして失敗していることがあるなと。こっちのほうが本質的な問題かな、とぼくは思いますね。
坂井:なるほど。サイハテは事業ベースではないけれど、自分も最近デスクワークが増えてきてて。みんなが村の作業してるときに、こもって作業してることが増えてます。
でも、それがサイハテではわかってもらえてるんですよね。だから、「ゆうきくんは情報発信してばっかりで村作りしないよね」とはまだ言われてない(笑)
堀元:良好な関係性が築けてるってことですよね。さすがです(笑)
坂井:はは(笑)でもあの村の話も今聞いたら、スタッフと村長の関係性においても、話してわかってもらえるような気もするんですよ。そこがわかってもらえない原因っていうのは何なのかなって。
考え方の違い?それともスタッフに、デスクワークの重要性っていうのがわかってもらえてないのか、それとも性格的な問題?
堀元:シンプルに仲が悪くなったっていうのもあるでしょうね(笑)
坂井:良好な人間関係は世界規模の課題ですよね(笑)
村づくりにおいて、どのような組織を目指す?ヒエラルキーか、上下関係なしか
坂井:人間関係の話をしていましたが、自分が経営者で、スタッフっていう関係性の中で、仕事ならまだしも村づくりってなったときに、この体制自体が機能しないんじゃないかって思う部分もあるんですよね。
サイハテも村長にならないっていう選択をして、だからこそみんなが自分ごととして関われたというか。
堀元:はい。
坂井:工藤シンクがサイハテの村長だともし言っていたら、今のサイハテはない。彼の村を作ってるってみんなが思ってしまうと、中々モチベーションも続かないし、主体的に関われないから、代表に不満が向くっていう部分があるかなと。。
堀元:どうなんでしょうね。ぼくは結局上手くいっていないので、あんまりハッキリとは言えないんですけど、あり得たんじゃないかなとは思います。村長というか、責任者みたいな人がいて、それなりに事業として回るっていう形はあり得たんじゃないかって。
坂井:確かに事業っていう感じだと、あるかなって思います。エコビレッジとか、コミュニティ、会社もそうだけど、素晴らしいよくできたシステムやルール、もしくはカリスマ的リーダーシップを発揮できる人の存在っていうのは、今までもずっとセオリーでした。
堀元:そうですね。
坂井:ただ、自分の場合、村ベースでみても、事業ベースでみても、なんかヒエラルキーを感じてしまうんですよね。それで良いって人は良いと思うんですけど。
村づくりとしてやりたいこととか、見たい世界ってところによって、例えば2パターン出てくるかなと感じてます。
堀元:2パターンというと?
坂井:事業ベースで、それが運営的に回るようにリーダーシップを発揮して、組織化してやっていくっていうのが1つ。そもそも上も下もなくて、みんなが主体的に、みんなの責任でやろうよっていう形。今で言うホラクラシー型とか、ティール組織とかにいくパターンとかですね。
堀元:なるほど。両方とも大いにありだなと思います。
村づくりのベースとなる資金の問題。どうやって産業をつくっていくか
坂井:あとは、運営資金は大事な部分ですよね。サイハテも、お金がないから出来ないっていうことが多々あって。
堀元:大変そうですよね(笑)
坂井:母体があって、そこでプロジェクトの資金を作ったりっていうのが無い。なので、それぞれの住民が自分でやっていくんですけど。
それだと、時間がかかるんですよね。クラウドファンディングという手もあるけど、それで何かを作ったとしても、自分たちのベースがないとやっていけなくて。
堀元:外貨の獲得ですね。
坂井:だから今、サイハテは7年目なんですけど、それぞれが経済的に自立していきましょうよと、そういう感じになってきてます。
堀元:上手くいってますか?
坂井:ギリギリ?ですね(笑)自分もぶっちゃけ200万円ぐらいは借金あるし、サイハテ来て、生活費とか合わせたら1,000万円ぐらいは使ってます。
食っていくのも大変ですけど、村として、サイハテも村として産業を生み出すとか、そういうことを考えていきたいですね。
堀元:自治体みたいな話になりますけど、本当は産業があって、その中で回るようになったらすごく良いですよね。
坂井:うんうん。でも、そういう産業の作り方って、めちゃめちゃ大変だなと。
村の住人みんなが食っていける産業ってなったら、多分何千万とかの売上がないといけない。全員でやることになりますよね。
そうなると、「アイツこの間休んだぞ」とか、そういうのも想像できてしまって(笑)
堀元:直感的には、観光業とかになりそうですけどね。
坂井:やっぱりそうですよね。サイハテもそれを狙ってます。サイハテの認知度が上がっていって、魅力を感じる人、価値を感じる人が増えてきてくれれば、それによって外貨じゃないけど、村づくりをしていく上での好循環が生まれるだろうなと。
だからたくさん情報発信もしてるんですけど、中々サイハテに毎日のようにお客さんが来てるっていう状況ってまだないんですよね。
堀元:やっぱり、観光地としてのとっつきづらさはありますよね。普通の人間の行動じゃないじゃないですか。山奥で村づくりしているところに訪ねていこうっていうのは。一般的な行動ではないので、ハードルはありますよね。
坂井:そうですよね。どうしたらハードルが低くなっていくんだろう?
堀元:ハードルを劇的に下げるのって現実的じゃないですよね。ちょっとずつ認知を変えていくしかないので。
それよりはやっぱり、引きのあるイベントみたいなのでドバっと人呼ぶ方が現実的なのかなとは思います。
坂井:その方が来やすいですね。イベントになったときにジリ貧になっていって首締めるって感じにはならないように意識して。
堀元:ちゃんとプラスになるようにって感じですよね。
坂井:サイハテも村づくりして、経営者の人とかから言われたのが、まず、住む場所整えたり、草刈ったりとかそういうことじゃなくて、経済的インフラ作れって言われましたね。
堀元:ははは(笑)言われそうですね(笑)
村の続け方:まとめ
始めるうえでまず大事なのは、「仲間を集めること」。-坂井さん-
・本当に、その人となら楽しくやれそうか
・ビジョンや熱量が同じところにあるか
・経験値があるかどうか
村を始めるにあたって、どのような方針で進めるのかを定めることが大事。
・営利事業としてスタートした「あの村」と、新しい暮らしの社会実験としてスタートした「サイハテ」
・サービスとしてやる場合、運営として「おもてなし」を目指すか、「土台の提供」を目指すか -堀元さん-
・ヒエラルキー型の組織を目指すか、上下関係なし(ティール組織、ホラクラシー型)を目指すか-坂井さん-
村を続けるうえでの「人間関係」との向き合い方。
・「それぞれが自分のしたいことをコミュニケーションしていく中で、生まれてくる行為の総体が村づくり」-坂井さん-
・「営利事業としてやる中で、人間関係が上手くいかなくなる本質的な原因は、ビジネスとして失敗していることだと思う」-堀元さん-
村を継続させるベースとなる「資金」の問題
・村としての産業を持つことができたら、安定してくる
村の終わり方
あの村終了の反響、「終わらせること」への向き合い方
坂井:今回、「村の終わらせ方」っていうのも1つのテーマとしてあるんですけど、村づくり始めて1年やってみて、率直な意見が聞きたいなと。
堀元:そうですね。それは上手に終わらせられたやつが偉そうに語るべきことであって、ぼくはあまり語る権利がないと思ってはいるんですけど(笑)
坂井:いやいや、全然語ってほしいですね!(笑)そういう人の方が説得力があるし、とても勉強になるっていうか。
堀元:終わらせ方に関して言うなら、僕は上手くやれてない感がすごくあります。叱られの声というか、結構たくさんありまして。
坂井:うんうん。どういう声でした?
堀元:要は「期待はずれだったよね」っていう声ですね。
坂井:ははは(笑)なるほど(笑)
堀元:顧客からの批判はほぼ全部それですね。面白いかと思って、お金を払いましたと。だけど、思ったほど面白くはなかったって感じです。対顧客でいうとそれになります。
坂井:なるほど。でもこれって難しいなって。自分もサイハテやっているけど、何年も続けられるかって言ったら、今でも自信ないです(笑)
堀元:ははは(笑)そうなんですか(笑)
坂井:これは本当やってみないと、特に堀元さんの立場でセロから山買ってやってみないと本当に分かんないな~と思うんですよ。まあ、色んなことを言われるのも、村長を名乗る上では甘んじて受けるべきところではあるのかなと。
堀元:しょうがないって感じですね。顧客系は結構やばかったというか、いっぱい言われたんですけど。でもそれ以外はそんなに問題なく進んだというか。一番のステークホルダー、地主とか、ぼく個人に初期投資にあてるためのお金を貸してくれてる人とか、結構いたんですけど。
そういう方たちは、「まあしょうがないよね。全然良いよ」って感じだったのでそこは良かった点かなって感じです。
坂井:そうですね。そんな感じでわかってくれる投資家の人がこれからどんどん出てきてくれたら良いなって(笑)サイハテにもお願いします(笑)
堀元:ははは(笑)
坂井:終わり方については、サイハテが終わったわけではないので特には言えないんですけど、「終わらせ方を考えない」っていうのは大事だなと思いました。失敗するかもと恐れずに取り組むのが村づくりじゃないかなと。
堀元:そうですね。そして、いざ終わるときは思い切りも必要なのかなと。僕らはサービスとして「提供しますよ!」って感じでやってたので、そうなると綺麗な終わらせ方って無理だなって思います。変に終わり方の厳しさを考えてズルズルいくよりは、汚くてもいいから終わらせてしまうしかない。そんな気がします。
村の終わり方:まとめ
「終わらせ方を考えない」ことが大事。失敗を恐れずに取り組むのが村づくり。 -坂井さん-
いざ終わるときには、思い切りが必要なときもある。ズルズルいくよりは、汚くてもいいから、終わらせてしまうことも必要だと思う。 -堀元さん-
これからの村づくりを加速させるための「新しいコミュニティの学校」を
坂井:あの村が登場したとき、嬉しい反面、心配な部分もあったんですよね。村づくりのことを全然わかってないんじゃないかって(笑)
堀元:最初に坂井さんに会ったときも、それは言われましたね(笑)
坂井:そうでしたね(笑)僕も村を作ろうと10年前に思って、活動を始めたんですけど、まずやったのが、実際に自分で村づくりができる色んなノウハウを貯めるっていうところ。
「こういう建物だったらすぐ作れて実用的、現実的じゃないか」とか。あとは開拓するにあたって、ユンボとか、色んな大型の重機の免許を取って運転できるようにしたりとか。
実際に村づくりをするうえて、知識とかノウハウがあったら、もっと始めやすいんじゃないかなって思ったんですよね。村づくりのすゝめみたいな。
堀元:確かに、そういった入門書って存在しないですよね。
坂井:ですよね。まぁ一概には言えないと思うんですけど(笑)こうやって村づくりをしていく若者が増えていってくれたときに、マニュアルだったりノウハウがあるのって大切だなって。あとは関係がある程度できてたりとかっていうところ。そうした部分がこれからサービスとしてあったら良いなって思ったんですよ。
堀元:なるほど。
坂井:前線で活躍するコミュニティの人たちも、日本中にいっぱいいるんで。そういった人たちの知恵とかも集結していきたいなって。
そもそも村づくりだけじゃなくてコミュニティ全般なんですけど、コミュニケーションが世界平和につながっている気がするんです。質の悪いコミュニケーションが、対立とかいろんな問題を引き起こすんだなと思うし。
堀元:そうですね。
坂井:夫婦間の関係悪化と同じで、本当に自分が伝えたいことが言えてなかったりとか、相手が言おうとしていることを全然理解していないとか。
そういったことも含めて、コミュニティってこれからどうなっていくのかっていうのを学べる場を「次世代型コミュニティ大学(NCU)」っていうことで、サービスをリリースしたんですね。
あの村プロジェクトをやる前だったら、こういうサービス欲しかったですか?
堀元:ぼくは人間性に問題あるというか、あんまり先人の知恵とかが好きじゃないので、素直には擦り寄れないかもしれないんですけど(笑)学ぶところはすごい多かったんだろうなと思います。
坂井:ははは(笑)
堀元:スタートとしてはどんな感じに進むんですか?
坂井:7月中が入学募集期間としてて、8月1日から運用を開始する予定です。NumundoっていうエコビレッジのAirbnbみたいなサイトがあって、そこに登録している30弱ぐらいのうち、15コミュニティが賛同してくれてます。各コミュニティの代表が教授になってコラム書いてくれてディスカッションしたりって感じですね。
それと同時並行で分科会があって。色んなキーワード、「パーマカルチャー」とか、「アースバッグ」とかでもいいし、色んなカテゴリがあって、それらに興味ある人が入って自由にスレッド立てて、交流したりコラボしたりしながら、生まれたアイデアを使ってイベントをしても良いし。
リアルなコミュニティと、バーチャルなコミュニティであるNCUが連動して、各地のコミュニティの活動だったり知恵が、これからさらに回っていってくれたらなと思っているところです。
堀元:素晴らしいですね。
坂井:ありがとうございます。堀元さんもまた、村作り業界に戻ってきてくれることを期待します(笑)
堀元:あんまり戻って行かなさそうですね(笑)
坂井:ははは(笑)まぁ、村作って、色んな遊びをするっていうのも、フィールドとして一緒にコラボして行けそうな。
堀元:確かにそうですね!そう言って頂けてありがたいです。
坂井:では、本日はありがとうございました!