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『世界青年の船』から見る国際交流による持続可能な社会の実現

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どうも、はじめまして。
Ozoneで広報インターンをしています。大学4年のイズミ(@kochan19951008)です。
僕はたまに某アパレル社長みたいに「世界平和」や「ダイバーシティ」とかについてぼーっと考えることがあります。答えを出そうとして、考えに考え抜こうとするのですが、そんなことをしていたら僕はたぶんおじいちゃんになりそうなので、やめておきます(笑)
ところで、みなさん、「世界青年の船」をご存知でしょうか。
最近は留学や旅行で飛行機を使うことが多いと思います。
そうではなく移動手段は船。舞台は海の上です。毎年、日本人と世界中から集まる若者たちが船という一つコミュニティに集まって交流するというもの。なかなか味わえない体験ではないでしょうか。
今回は国際交流が社会や人に与える影響について、現在、同事業の事後活動組織で広報をされている小野かつみ(@katsumi_swy)さんにお話を伺いたいと思います

――今日はよろしくお願いします!まずは自己紹介も含めて、現在している活動について教えてください。

小野かつみです。内閣府が実施する世界青年の船事業(通称:SWY)※1に参加した後、事後活動組織の「SWYAA※2」PRディレクターをしています。広報部自体は昨年から設立されましたが、主にSNSでの広報や広報イベントの企画を担当しています。本業は201812月からもっとこの活動に結び付く仕事をしたいと考え、広告代理店に転職し、デジタルマーケティングの仕事をしています。今は研修が多くて、今日もロープレを詰めてやったので、大変でした(笑)

1世界青年の船(SWY)事業とは
内閣府が実施する青年国際交流事業の一つで、毎年日本人青年と世界から集まる海外青年1と共にで 約1か月間、船での共同生活を通して、リーダーシップ、異文化理解、プロジェクトマネジメントを学び、世界で社会貢献していく青年を育てていくための国際交流事業。海外では「Ship for World Youth Leaders」で「SWY(スワイ)」と呼ばれている。

2 SWYAAとは
内閣府青年国際交流事業「世界青年の船」事業、グローバルリーダー育成事業、「シップ・フォー・ワールド・ユース・リーダーズ」で培われた精神を継続させることを目的に、各国で既参加青年のための組織が設立されている。SWYAA国際連盟(Ship for World Youth Alumni Association International)は事業で培われた異文化理解、国際協力、国際平和の実現に向けてのリーダーシップ精神を推進し、支援している。

――お忙しいところありがとうございます。今回はSWYでのかつみさん自身の経験から今に至るまで、そしてSWYから見て国際交流というものが社会や人にどのようなインパクトを与えているのかをお聞きしたいと思っています!まずはSWYでの経験についてお話を伺いしたいです。

えー、まずは何を話せば…(笑)
そうだね。私がSWYに参加したのは大学生の時。私は埼玉県出身で高校までは学級委員や、吹奏楽部のコンマス(学生指揮)、ボート部のCOX(舵取り、司令塔)をやったり、リーダー的な役割をやらせてもらうことが多かったんだけど、大学に入ってから、周囲への劣等感から、自信がなくなってしまっていました。
そんな中で出会ったのがSWY。実は、SWYに参加する前は、「これに参加すればグローバルリーダーになれる!」って思っていたの(笑)
それで、参加後はどうだったかというと、逆に、グローバルリーダーになるどころか、今の自分がいかにグローバルリーダーからかけ離れているかを痛感して、事業が終わりました。船の中には大学よりももっとすごい人たちがいたので、大学より凹みましたね。

――グローバルリーダー!大きく出ましたね。でも、その距離を感じたということは事業への参加はネガティブな結果に裏切られてしまったという感じでしょうか?

いや、良い意味で裏切られたかな。
自分に絶望はしていたけど、それを受け入れてくれる人がいたからこそ、今の自分があるんだと思います。
私はプログラムの中、参加国同士でお互いの文化について発表する「ナショナルプレゼンテーション(以下NP)」を企画運営するNP委員会の委員長を務めていたんだけど、そこの経験が大きかったと思います。実は参加していた時、海外に行ったことない日本人参加者は私ともう一人の二人だけだったの。自分よりも圧倒的に優秀な参加青年たちに囲まれていたのにも関わらず、花方ともいわれているNPの委員長に手を挙げたんです。本当は別に「この人やるだろうなぁ」という人がいて、周りは思っていたんだけども、「自分を変えたい、後悔したくない」という気持ちから気づいたら手を挙げてました。あの時はマジでヤバかった(笑)事前研修の最終日に日本参加青年全体にNPのコンセプトや内容をプレゼンする時間があって、そこNP委員が事前研修中に一生懸命考え抜いたNPへの思いをプレゼンしたら、スタンディングオベーションをもらって。海外に一回も行ったことなくて、「自分なんてリーダーじゃない」と思っていた自分をみんなが受け入れてくれたことは大きな自信になりました。ここで弱かった自分をさらけ出して、素の自分になれたと思う。
最初はお互いのダメなところを見られるのって恥ずかしいと思ったけど、逆にさらけ出すことで、得られるものもあると感じました。
ちなみに外国人参加青年が合流してからの委員会活動は、外国青年に圧倒されて、思ったようにリーダーシップを発揮できなくて、落ち込んで泣いてばかりだった笑
でもみんなが受け入れてくれて、そこで自分の弱みが知ることができたと思ってる。
今考えると、NPでの経験って、コンフォートゾーン→ストレッチゾーン→パニックゾーンっていう3つのゾーンで考えると、今の自分が、頑張らなくてもいいコンフォートゾーンから、意識的に一歩踏み出して、少しストレスのかかるストレッチゾーンに移行して、気づいたらパニックゾーンまで行っちゃって、っていう経験だったんだよね。でもそのおかげで新しい自分を垣間見ることができたと思う。ストレッチゾーンにはいって、自分が思うように結果を出せなくて落ち込んでいた時に、同期がかけてくれた「このプログラムは”失敗”を経験するためにある。ここで成功することが、この事業に参加した目的じゃないでしょ」っていう言葉が忘れられない。SWYはどんなチャレンジも、失敗も前向きに受け入れてくれる場所だなって思ったよ。

――すごい経験ですね!それでは「国際交流」や「異文化理解」という観点ではどうでしたか?

実は私たちの時は、政府の予算の関係で、今みたいに船で海外に回るものではなく、オリンピックセンターで2週間陸上研修、船で石巻へ訪問、そのあとディスカッションコースごとに航空機で海外へ派遣というプログラムでした。なので、通常のSWYプログラムよりも外国青年と過ごせる時間が少なくて。こんなこと話したいって思ってたことも、全然はなせないままあっという間に事業が終わっちゃったんだよね。
でも、事業が終わってからも世界中の既参加青年とかかわる機会がたくさんあって、あのとき「こんなこと話したい」って思ってたことが少しずつ実現しているなって思う。
国際交流という観点だと、私はアラブやイスラム文化に関心があるかな。大学で勉強していたというのもあったけど、事前研修で既参加青年のUAE人と仲良くなったというのもあって、そこから関心を持ち始めてから、船ではバーレーンからの参加青年と仲良くなりました。当時の日本ではハラル料理が食べられるお店がほとんどなくて、すごく困ったな。なんというか、ベジタリアンと一色単にされていて、味もおいしくなかったので、みんな折角日本にいるのに、自国から持ってきたカップ麺とか食べていたの私は少し勉強していたので食品表示とかを見てあげたりできたけど、大半の人はまだ考えたことがなかったと思う。
そういう経験は、日本国内の陸上研修だけではなく、船の中でもあって、知らずに文化の違いを否定することに対して、自分はそうありたくないと思ったし、「怖い」「理解できない」というように見えてしまうのは残念だなと思ったの。
私は文化の差や違いを楽しめるようになりたいし、多くの人にその楽しさを感じてほしいと思う。せっかく日本が好きで来てくれた海外の方に、悲しい思いをさせたくないなとも思ったしね。
事業参加後、アラブ文化・イスラム文化をもっと深く知りたいと思って、バーレーンの参加青年を訪れたんだけど、その時、とても温かくおもてなししてくれて。私は日本で、彼らにこんな風におもてなしできなかったなぁ、って残念に感じた。それでも、日本が好きだと言って、また日本に来てくれる外国青年もいて。
だから純粋に、日本がもっと、異なるバックグラウンドを持つ人々にとっても優しい社会になったらいいな、と思うようになったんだ。特に関心のあった、アラブ・イスラム文化のことを発信したいとも思うようになって、最近では中東やアラブに関心ある人でイベントを企画するようになったね。

――最近も代々木のイスラムの寺院を見に行かれてましたよね。当時に比べると今は大分改善されたのかなと思います。そういう意味でSWYなどといった国際交流にはどんな可能性があると思いますか?Twitterで平和構築に興味があるとつぶやいていましたが、そこも関係があるのかなと思ったのですが。

元々、平和構築には小さい頃から興味あって、「なんで戦争するのかなぁ?」とずっと考えていたの。国際交流をしていても感じることだけど、個人レベルだとお互いの国の文化や習慣に興味を持ったり好きになったりする人はたくさんいるのに、国家のレベルになると国益や政治的意図がからんでいるのかもしれないけど、自分は国際交流という草の根活動にどっぷりつかっているから、個人と国家、平和、っていうキーワードにはとても興味があるかな。
国際交流は平和に関心を持つ入口、だと思ってるんだよね。国や言葉や肌の色違っても、同じ人間だし、同じことでも共感したり、感動できることを知るためには必要な体験だよね。個人と個人、個人と国家でも格差や対立はあると思うけど、どこか特定の国と戦争をする、となった時に私はきっと100%賛同できないと思う。そう思うのは、単純に「平和な世界がいい」っていう一般的な理想ではなく、国際交流を通して出会ったたくさんの外国の人達の顔や生活がリアルにイメージできるからだと思う。
まあ、国際交流が平和創造、平和構築、平和維持などにどのように結びつくか、どれほどの影響を与えるのかは簡単に答えが出るような問題ではないと思うんだけどね。
でも私は、この活動が、「平和な世界を創造すること」に繋がって欲しいと真剣に思うし、そうであると信じている。特にSWYに参加する外国青年は数100倍の倍率をくぐり抜けて来た各国のエリートばかりだし、このSWYの経験が国際情勢に与える影響は少なからずあるだろうな、と思っているよ。

――さ、さすが…国際交流の長期的な展望と可能性が見えました。SWYが将来背負うものもやっぱり大きいなと思いました。それらを踏まえてかつみさんの今後についてお伺いしたいと思います。

そうだね。さっきの話にもつながるけど、だからこそプログラム自体もどんどんアップデートしないといけないし、今後もこの事業が継続していくためにも「価値ある事業」だと、広く認識してもらわなければいけないと思ってる。なので、事業参加後、各国の青年が、それぞれの国やコミュニティに戻って、どのような事後活動をしているのか、どんな人が参加しているのかを広く発信していくために広報活動にさらに力を入れたいと思ってるよ。
私自身、今まで事後活動に積極的に関わってきたんだけど、その原点となっていたのは、自分が事業参加時に感じた「私はグローバルリーダーからかけ離れている」という悔しさなんだよね。素敵で、優秀で、自分はあんな風にはなれないなと思うような人に沢山出会ったことで、「自分の価値はなんだろう?」と思うようになった。悔しさの中で、何ができるのか、何がやりたいのか、すぐには全然わからなかったけど、とにかく自分ができることを見つけて、今どんな役割が必要かを考えて、それがたとえ自分のキャラじゃないことでも、やったことないことでも全部挑戦してみようと思った。そうやって地道に活動を続けていた結果、事業参加から4年がたった、2017年度事業で既参加青年の代表として、事後活動セッションというセッションを担当させてもらえることになったんだ。その時初めて、「ああ、私がこれまでやって来たことは、事後活動だったんだ」と認識しました。悔しい気持ちをエネルギーに変えて、できることをひたすらにやって来たけど、きちんと政府が事業参加後に参加青年に求めている「事後活動」、として認めてもらえたんだなぁ、って思ったよ。それと同時に、私にとってSWYは、始まりに過ぎず、あの瞬間に考えたこと、感じたことが自分の基礎となって、自分の背中を押してくれている。私のSWYはまだ終わってなかったんだな、って思った。

話がそれましたが、私の今後についてはSWY以外のコミュニティで何かチャレンジしてみたいことも考えていますが、今はこれから入ってくるSWY31の子とかにバトンをつなぐことと、SWYのコミュニティや文化をよりよくするために広報やつながりをしっかり作っていくことだと考えています。とにかく、SWY事業やこのコミュニティは続いて欲しい、というのが一番の願いですし、将来自分の子供にも乗って欲しいと思ってるから、できることを少しずつ続けていこうと思うよ。

――次の世代の育成とSWYのコミュニティの活性化を通して、第2のかつみさんみたいな方が出てくるときっと文化になると思います。話が変わりますが、当メディアは「SDGs」をテーマにしたものとなっているのですが、かつみさんから見て、SDGsはどのような存在だとお考えでしょうか?

私が当時大学で学んでいた時は途上国支援に関する目標の「MDGs」が主流でしたが、大学を卒業するタイミングあたりで「SDGs」に変わったのは覚えていますよ。
あまりSDGsについては私自身あまり詳しくないのですが、MDGsと比べると国レベルでの目標やアクションが個人レベルでも落とし込めるようになったなという印象はあります。
また、それも個人的な活動で終わることなく、国レベルのアクションとして捉えやすくもなっているので、わかりやすい社会的指針だと思います。
最近、SWYでもSDGsに関するセミナーやイベントをする参加青年もいますね。特に事後活動では「SDGs-SWY」という新たな取り組みも始まっています。

――確かに多くの社会課題が整理されたことにより、ソーシャルアクションを起こしやすくなったかと思います。また、SWYの事後活動をする参加青年たちの評価軸の一つとしても役に立つではないかと思います。最後の質問になりますが、私たちの取り組みの一つとして「フェスづくり」通したソーシャルデザインをしているのですが、SWY(国際交流)とフェス(祭)で共通するものって何だと思いますか?

一つのコミュニティに色んな生き方、考え方、をする人がいる中で、バラバラのように動いているけど、実は同じ方向に向かっているという感覚はフェスとSWYのような国際交流には共通するのかなと思います。
多様性がありながらも見えないけど何かしらの共通性があるというのかな。言葉にすると難しいけど(笑)志向やプロセスは違ったりして、ぶつかりあったり、合わさったりしながらも、見えているようで見えていない同じゴールを目指しているという感覚の共有を得られるのはどちらも一緒ではないかと思う。
そういう意味で、SWYももっと多様なバックグラウンド、例えば医療やテクノロジー業界の人とかで、国際系の人以外にも参加してほしい事業していきたいです。多様性があることはコミュニティを続けていくためにも必要なことでもあるので、もっと広くSWYを知ってもらうためにもPRしていきたいですね。

――かつみさん自身の国際交流の体験や事後活動組織での広報として関わる中で今回は国際交流の観点から人や社会に与えるインパクトについて様々な面からお話を聞けたと思います。日常と違う経験をすることで、今まで常識や物の見方が変わることはよりよい社会をデザインしていくのに必要なことだと思いました。かつみさん、今日はありがとうございました!

kotaro izumi

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Ozoneインターン生。1995年10月8日横浜市栄区生まれ育ち。大学では教育社会学を専攻し、若者論と社会貢献論を研究に従事。研究以外にボランティア、地域活動、国際交流、企業インターンシップを経て、地元栄区で若い活力を生み出すために2017年4月にSAKAE NEXT PROJECTを設立。現在は栄区から助成を受けながらローカルメディアの開発進めている。日本の地域をアップデートすることがモットー。

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