インタビュー

フェスとソーシャルデザインの交差するところ

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日本のフェスティバルカルチャーの黎明期よりシーンに携わり、自身でもオーガナイズ、アーティスト活動を行う
一方でワールドシフトを中心とした教育活動で大学の教壇に立つなど、フェスティバルカルチャーとソーシャルデザインを語る上での
重要人物である谷崎テトラさんにお話を伺ってきました!

フェスとソーシャルデザイン、異なるように思える文脈ですが
フェスカルチャーの象徴「グラストンベリーフェス」を基軸として
フェスが持つ社会的な価値について、お話していただきました。

音楽は神秘的な部分を呼び起こすもの。

祭りのなかに必要な要素がすべてある

それはすべて自然に調和している。

楽しみながら持続可能な社会をつくっていく。

SEX PISTOLSプロデューサー 故デイヴ・グッドマン

Plofile
谷崎テトラ
放送作家。音楽プロデューサー。ワールドシフトネットワークジャパン代表理事。京都造形芸術大学客員教授。愛知県立芸術大学非常勤講師。
1964年、静岡生まれ。環境・平和・社会貢献・フェアトレードなどをテーマにしたTV、ラジオ番組、出版を企画・構成するかたわら、新しい価値観(パラダイムシフト)や、持続可能な社会の転換(ワールドシフト)の 発信者&キュレーターとして活動中。国連 地球サミット(RIO+20)など国際会議のNGO参加・運営・社会提言に関わるなど、持続可能な社会システムに関して深い知見を持つ。リバースプロジェクトCGL研究員。現在、伊勢谷友介とInter FM 「KAI Presents アースラジオ」(毎月第4火曜21時〜)ほか。
http://www.kanatamusic.com/tetra/

 

今日はよろしくお願いします!「フェスとソーシャルデザインの交差するところ」を伺っていくにあたりそもそもフェスとはなんなのか?ということをあらためて伺いたいです。

フェスティバルカルチャーと言われるものがあります。
その原型となるのはウッドストックフェスティバルグラストンベリーフェスティバルです。
そこは単に音楽を楽しむだけでなくてキャンプをして、食事をして、排泄をして、出会いがあって、音を鳴らすエネルギーがあって
フェス自体がコミューンというか一時的に生まれる解放区で「T.A.Z(一時的自律ゾーン)」って言い方をしますね。

瞬間的に生まれる場が皆んなにビジョンを与える役割を持っています。
元々欧米のフェスというのは社会活動と密接に結びついてるのが当たり前でした。
ぼくがはじめてグラストンベリーを見たときも衝撃がありました。

当時日本で考えてた野外フェスというのは単に東京ドームで行われてるものを野外に持っていったというくらいで

まぁそれが興行的イベントとしてのフェスだったんですが、そもそも向こうでは成り立ちが全然違いました。

グラストンベリーは小さな村でそこに1つの共同体が出来上がるイメージですね。

会場はケルトの聖なる山でそもそもケルトの夏至祭がグラストンベリーなんですね。

丘の上の方はアコースティックで石器時代のような暮らしをしている人たちがいて

そこから裾野に下りてくにつれ、自然エネルギーを使ったステージがあり、有名アーティストが出演する最も大きいライブステージがあります。

それは人類の文明、多様性を表してます。

1988年に行ったグラストンベリーではボディーショップという会社がヘンプカルチャーをはじめて商業ベースに載っけたキャンペーンをしていたり
ソーラー発電を利用したソーラーシネマ、自転車発電を使ったDJブースなど様々なステージがありました。
グラストンベリーのなかだけで読まれる新聞があったりラジオ局ができたり、その中に本当に1つのコミュニティがありました。

1968年に人類はアースライズといって、月から地球を初めて見た瞬間があったんですけど、それから人類は地球を初めて故郷として感じることができました。その15ヶ月後にアースデイと呼ばれる、地球最初の環境活動が始まり、同じ年にグラストンベリーが生まれるわけですよ。

1969年に開催されたウッドストックフェスティバルというのもその時代のカルチャーを象徴するイベントでした。ネットもない時代なので口コミだけでにも拘らず何十万人も集まりました。オーガナイザーはそもそも興行的なものとして開催しようとしたんですけど、何十万人も押し寄せた結果、フリーパーティーになっちゃったんです。そしてそのなかで集まった人たちが食べ物をシェアしたり、病人がでたときにケアしたりとか、自律的にシェアが行われフェスティバルカルチャーの原型ができました。

ーー

(その後テトラさんが98年に撮影したグラストンベリーの映像を見せていただく)

映像の中でテトラさんはセックスピストルズのプロデューサー、故デイヴグッドマンさんの家に泊まり

ヒッピーたちと交流しながら、フェスの模様をナレーション付きで解説している。

フェスにいる人たちは自由にパフォーマンスをしたりアートをしたりしている様子で
まさに解放区といった印象。

映像の中で

故デイヴグッドマンがグラストンベリーについて語る言葉が印象的でした。

グラストンベリーを3つの言葉で表すなら「サイケデリック」で「レインボー」で「教育的」だね。

音楽は神秘的な部分を呼び起こすもの。祭りのなかに必要な要素がすべてある、それはすべて自然に調和している。

楽しみながら持続可能な社会をつくっていく。

成り立ちから違うとテトラさんがお話しした通り。

音楽フェスというものの概念が日本のメインストリームのそれとはまるで違いました。

ーー

映像終わり

ーー

ーありがとうございました!すごくイメージが伝わりました。

日本にはまだまだこの雰囲気がフェスに伝わらないですけど

ソーシャルデザインっていうよりは、彼らの言う言葉だとグリーンフューチャーって感じですね。

ぼく自身も実際にグラストンベリーに行って、一週間だけだけどピースな未来を感じて、これを如何にぼくらの暮らしに生かしていくか考えていくなかで、エコビレッジという存在を知り、伝統的な文化の重要性に気づくことができました。

アメリカにおいては60年代におけるヒッピーカルチャーの影響が大きいのですが、イギリスだと70年代80年代のパンクス達がつくった影響が大きいです。彼らは当時自分たちを自然と調和する考えを持った新しい世代のヒッピーというような意味で「ニューエイジトラベラー」と呼んでいたのですが、反体制派のパンクスが「じゃあこれからどういう社会をつくっていくかと」いうことで作り上げた文化がいわゆる「レイヴカルチャー」と言われるものです。

日本においては「RAINBOW2000」「イクイノックス」などのレイヴが90年代後半にでてきます。そして98年にフジロックが生まれ、フジロックの中のアヴァロンフステージはグラストンベリーのアバロンの丘に由来していて、その精神を取り入れようとしています。

フジロックのなかでは「A SEED JAPAN」がゴミ0の運動が行われていたりグリーンフューチャーな文化がつくられていきました。

ー「いのちのまつり」はそれより前ですよね。

いのちのまつりはいわゆるヒッピーカルチャーそのもので

1988年に反原発運動として八ヶ岳で生まれましたが、東京ではクラブカルチャーが人気で都心とは全く繋がってなかったんですね。

それがグラストンベリーのレイヴカルチャーが混ざり都心のクラブカルチャーとレイヴを繋げた大規模なフェスがRAINBOW2000で
それが日本におけるフェスティバルカルチャーの最初だと考えてます。

ーそこからフジロックへ繋がり、フジロックに影響を受けたフェスが多く生まれ、「中津川ソーラー武道館」や「頂フェス」などクリーンエネルギーを利用したグリーンフューチャーなものも多く生まれていってますね。現在の潮流としては「Ultra」のようなEDMフェスが日本ではムーブメントとなっていますが、フェスの今後についてテトラさんはどう考えていますか?

日本のフェスティバルの未来

何万人規模のフェスの時代は1つ終止符を打って、もっと小さい規模でコミュニティに直結したものや

またアートフェスが地域と結びついたものを潮流として感じます。

ap bank fesはこの流れのなかでも特筆すべきものだと思ってます。

プロデューサーの小林武史さんによるところが大きいですが、レイヴカルチャーとは全然違う文脈でクリーンエネルギー100%のエコロジカルなものが行われています。

ap bank fesですごく印象的だったのは妻恋で行われていたフェスの最終日。台風がきてフェスは中止となり会場は大変な現場になってしまったんですね。それを片付けてるときに新潟で大地震が起きたと一報が入ったんです。そのとき小林さんは中止になったフェスで余ってる食材とチームを全部引き連れて、その日のうちに現地に救済に入るんですよ。

これがフェスティバルカルチャーの凄さですよね。

更に言うと、そのときの震災でノウハウを持ったap bankのチームが今度は3・11の救済チームにもなっていきました。
フェスティバルカルチャーの中で、こういう動きがすぐにできるベースが整えられていくわけです。フェスはテンポラリーな自由領域として存在する一方で、同じような志をもった現場力のあるチームがつくられ、いざという時に社会を支えるインフラにもなり得ます。

また渋谷のハチ公まえのような公共空間で音楽を流し、大衆の気をひいたところで選挙演説に入っていく三宅洋平の選挙フェスのような活動もフェスの持つソーシャルな一面だと思います。

僕はRAINBOW2000のトランスDJから選挙フェスの存在を初めて知らされました。RAINBOW2000についてもう少し詳しく話すと1996年に初めて開催され、その翌年京都でCOP3という環境に関する非常に重要なサミットが開催され京都議定書が交わされます。そして翌年、RAINBOW2000と環境運動が結びついたRAINBOW PARADEというのが行われるんですよ。

ぼくもそこでは環境団体とRAINBOWを結びつける役割をしていたんですが、そこでこれまでエコなシステムで音楽イベントをやっていたということと、実際の環境運動が結ばれるんですよ。表現としてはトラックの上にサウンドシステムを積んで、渋谷の街をサウンドデモするんです。その流れが日本最大の市民参加型環境運動アースデイの開催にも繋がります。

ー音楽を街中に流すということの効果っていうのは、グラストンベリーのインタビューでグッドマンさんが言っていたように音楽にはグリーンフューチャーな変性意識を呼び覚ます効果があるというような文脈で流してたんですかね。

環境運動や政治や音楽、音楽のなかでもテクノやトランスやロックなど、もともと分断されていたカルチャーっていうのを結びつけていく力があります。具体的に社会を変えていくにはもう少し違った動きが必要にもなりますが、そのベースとなっていますね。社会問題のエントランスとして機能しています。

カルチュラルクリエイティブ、文化創造といった動きはとても重要で、そこからより深く社会変革にコミットしていく人たちが増えていきます。イクイノックスのチームはいま太陽光発電の会社を起こしていたりしてますね。

また、たくさんの人が集まるということは、それだけで意識を変える力があると思います。

ドイツで行われていたラブパレードという世界最大規模のレイヴでは100万人の人が町中で踊っているわけなんですけど、この現実感というか喜びのエネルギーというのは圧倒的な力を持っているんですよね。

ーありがとうございます!最後になりますが、このメディアではお話を伺った方にSDGsのうち1つを選んでいただき、そのコミットを表明することで同じ課題意識を持つフェスや、イベントと志で繋がるマッチングが生まれればいいなと考えていて、テトラさんのコミットするSDGsを教えていただけますか?

ワールドシフトネットワークジャパンというのを2010年に立ち上げました。これまで多くの環境活動をしていくなかで「文明そのものを転換」していかなくてはいけないというのが大きなポイントになり、2012年にはリオデジャネイロで世界200カ国の首脳が集まる地球サミットに深く関わることになりました。しかしそのサミット自体は身を結びませんでした。そこで唯一残った希望の種として「SDGs」があり、南米の小国が最後の最後に「次に希望を繋げるためにサステイナブルなゴールをみんなで決めることだけはやりませんか?」と提案したわけです。

それがその後の国連総会で批准され、世界各国で取り組みが議論されていったというのはぼくにとって希望です。ただいくら国連が旗を振ろうと、国がいくら目標値をあげようと、実際に市民が動かなければ達成されません。ですのでぼくはSDGsという17項目そのものを知ってもらうということをメディアの人間として関わっていこうと思っていて、17個のうちどれというよりは可能な限り伝えていくということをしていきます。

ーそうですよね、テトラさんは全部ですよね。

価値観全般を変えていくことが重要なので強いて言えば教育ですね、広くメディアに伝えることも大切ですが、小さな勉強会みたいのを数多く開催していくというのもぼくにとっては大きなテーマとなっていて、テトラゼミというのをやっています。その中でも文化、環境、教育セクションを分けた機会をつくろうと思っていますね。

谷崎テトラ HP

http://www.kanatamusic.com/tetra/

 

あめみー

あめみー

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92年生まれの水瓶座。Ozone代表/Oxygen編集長/DJ。
ソーシャルフェス®の概念主。
無音のフェス「サイレントフェス」量子力学的フェス「Quantum」などもやる猫背。歯医者が怖い。

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