レポート

【レポート】「アースデイ」トークテントで生活について考えた

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毎年4月22日は、地球のことを考えて行動する日『アースデイ』として世界各地で様々な催しが行われています。
年に一度、地球への関心を何らかの形で表現する記念日を祝し、原宿・代々木公園では22日~23日にかけて『アースデイ東京2017』が開催されました。


今回は、4月23日に放送作家・谷崎テトラさんがナビゲーターを担当した『アースデイラジオ&サイレントディスコ』の模様をレポートします。

涼しく過ごしやすい天気の中、会場内に設けられたトークテントには思い思いにお酒やドリンクを手にした人が集まり、夫婦やカップルだけでなく、幼稚園児の子どもを引き連れ、カレーを口に運ぶ母親の方の姿もありました。

“アースデイラジオ&サイレントディスコ”
【案内役】
谷崎テトラ(京都造形芸術大学教授、放送作家)
【ゲスト】
雨宮優(ソーシャルフェスデザイナー)ほか

谷崎テトラがナビゲートするアースデイラジオの生放送!トークとDJをライブでお届けします。テーマは「アースデイ2020年と未来へ」。アースデイの会場に集結している環境NGOキーパーソンなどをむかえて、ワールドシフト(持続可能な社会変革)とパラダイムシフト(価値観の転換)について語ります。トークの模様はFM電波で発信。さらに会場ではラジオ受信機付きのヘッドフォンを装着することで、「サイレントディスコ」を展開。アースデイをテーマに選曲したDJによる素敵な音楽をお楽しみください。
――出典:アースデイ東京2017 公式サイト

トークを聞く?音楽で踊る?多様なトークテントの楽しみ方

15時半から開始した、アースデイラジオ&サイレントディスコの冒頭では谷崎テトラさんと、Oxygen編集長の雨宮優の自己紹介が行われました。

今回のアースデイラジオの特徴は、2.4ギガヘルツの電波を発する専用ヘッドフォンを活用したサイレントディスコがトークと並行し、テント内で実施されていたことにあります。
特殊な電波を用いてペアリングされた複数台のヘッドフォンを装着すると、周りから見ると無音ながら、さながらディスコのように何人もの人で同じ音楽体験を共有できることがサイレントディスコの特色です。
『無音』でクラブイベントを実施出来るという利点を活かし、近年ではサイレントフェスの仕組みを活かして銭湯などでもイベントが開催されています。

アースデイにコミットする方法は、人によってそれぞれです。
トークに耳を傾けることで深く問題について思考する人も居れば、ヘッドフォンをしてアースデイをテーマとした選曲を楽しむことこそ、自分にとっては地球への関心の表明手段であるという方も居るでしょう。
ステージ前方ではサイレントディスコ用の専用ヘッドフォンの貸し出しが行われ、テントは「トーク」「音楽」それぞれ好きなコンテンツを選んで、自由に楽しむことが出来る空間となりました。

350.org ――お金の流れと気候変動の関係は?

この日、一組目のゲストとして登壇したのは、350.org清水イアンさん小野リリアンさんの二名。
350.orgは気候変動問題に取り組む国際環境NGOの日本支部で、現在は『MY BANK MY FUTURE』という地球に優しい銀行を預金先に選ぶことを推奨するキャンペーンを展開しています。

『銀行』『気候変動』の間には一見特につながりは無さそうに見え、「自分はどの銀行を選んで、お金を預けるのか?」という問いも「そこまで何故、考える必要があるのか?」と疑問に思う人が多いものかもしれません。
しかし、両者には『お金の流れ』を通じた結びつきがあるのです。

350.orgの日本支部が行った調査では、日本の銀行の多くが化石燃料や原子力に関わる企業に対して、融資や投資を行っているという実情が明らかになったとのこと。
化石燃料と原子力は国内で消費されるエネルギーの大部分を占めており、いまの日本人の暮らしはこうした資源への依存度が高いものです。化石燃料や原子力は地球環境への負荷が大きいと言われています。
そのため、再生可能エネルギーの導入を大幅に加速し、原子力・火力への依存度を下げることは非常に重要です。

テトラさんの「銀行に預けた預貯金が、地球に良くないところに融資されているということ?」という質問に350.orgの両名は深く頷きました。
自分のお金が、自分の見えないところで、自分の望まない形で使われてしまう。その流れを、少しでもサステイナブルな方向へと変えたい。
そうした明確な問題意識が登壇者、観客の間で共有されるにつれて、一層トークは熱を帯びていきます。

無意識にお金を預けていると、悪いことと繋がっていた

日本の大手銀行にも化石燃料に融資している機関は多く、トーク中には具体的な銀行の名も飛び出し「無意識にお金を銀行に預けていると、(地球に対して)悪いことと繋がってしまう」と問題提起が行われました。
350.orgの調査では、日本には45社の地球にやさしい銀行が存在していたそう。
サイレントディスコが同時並行で進行する「アースデイラジオ&サイレントディスコ」らしく、45社の銀行名の発表は会場に流れるビートに乗せ、清水さんのハードなラップで行われました。
なお「僕もこの話を聞いてから、城南信用金庫に口座を作った」とテトラさんが語ったように、その多くは地方銀行や信用金庫でした。

「まずは銀行を移せと(一般の人々に)言ったけれど、銀行を移すことはエネルギーが要る。そこで今は、「地球にやさしい銀行」を選びたいという人々の声を銀行に届けるために署名活動をしている」と、活動の課題と今後の展望を語った清水さん。
5月13日~14日にかけては、350.org主催のイベント『Earth Choice Festa 〜 未来への One Choice 〜』が開催されます。

Facebook: https://www.facebook.com/350japan/
Earth Choice Festa: https://www.facebook.com/events/198495447308201/

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アムネスティ・インターナショナル ―― 日本の難民問題の実態


アムネスティ・インターナショナルは、世界最大の国際人権NGOとして知られる団体です。
トークテントでは日本と難民問題の関係性について話題を展開しました。

「人権、迫害について(日本人は)中々意識がない。しかし、日本が(人権問題の)加害者になってもいる」と冒頭で語ったテトラさん。
日本において人権問題や難民問題は「私たちの生活のすぐそばに存在する社会問題」でありながら、中々スポットライトが当たらず、日陰に置かれたトピックスのように扱われがちな問題です。
国内ではヘイトスピーチが蔓延したり、大手ウェブメディアのニュースのコメント欄に外国人に対する差別的な書き込みが行われるといったことが増えています。
またトランプ政権によるメキシコへの排他的な政策を代表例に、国際的に見てもマイノリティーに対する風当たりは強いものとなりつつあります。

アムネスティ・インターナショナル日本では現在、ミス・ユニバースの県代表の女性たちと共に世界中で増加する難民の日本国内への受け入れを進める『I WELCOMEキャンペーン』を展開しています。
アムネスティ・インターナショナル日本の山下瑛梨奈さんはシリア、アフガン、コンゴといった国・地域について「和平と言っても、和平が進まない。難民の人が家に帰れず、避難が長期化している」とした上で、トランプ政権の政策の影響等から「難民の人権が損なわれてはいけない」と危機意識を示しました。
茨城県代表の冨田七々海さんはプライベートにおいて、アムネスティでの難民支援に携わった経験があることから、今回のキャンペーンは「絶対にやりたい」と自ら手を上げたそうです。
冨田さんの他、佐賀県代表の荒木優佳さん、愛知県代表の牧野美来さんらを交えたトークは華やかなムードに包まれました。

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エシカルタウン原宿 ―― その服の原材料は何処から来ている?


普段、自分が着用しているジャケットやワンピースは、どのような原材料で作られているのかご存知ですか?
もちろん「デニム生地で出来ている」「綿で出来ている」と答えることが出来る方もいらっしゃるでしょう。
しかし「そのデニム生地や木綿が、どの国でどのように作られているか知っていますか?」と聞かれると、返答に詰まってしまう方は多いのではないでしょうか。

続いて登場した松尾沙織さんは『一般社団法人エシカルタウン原宿』の一員として、原宿からまちぐるみでエシカルファッションを発信しています。
エシカルとは「倫理」を意味する言葉です。
服やアイテムをせっかく買うなら、短い期間で使い捨てるものではなく、長く使えるものを選ぼう。少しでも環境にやさしいものを選ぼう。
そういった気持ちに裏付けられたファッションやショッピングを実現しようとするのが、エシカルタウン原宿の活動です。

自分の買い物の背景に思いを寄せる

「僕は自分の服がどこから来たのか言えますよ」と述べたテトラさんがこの日来ていたジャケットは、柔道着をリサイクルし、藍染めで作られたものでした。
ステージでは登壇者の服の“ルーツ”をたどるように、それぞれどのアイテムをどのように手に入れたのか披露される一幕がありました。

「少し調べたことがあるんですけど、生産者の農家は年間で十万人くらい農薬で病気になっているんです。農薬を使うことで、(健康面・環境面で)一番被害を受けるのは農家自身です」と、テトラさんは農薬を用いた綿花栽培の問題点を指摘しました。
「木綿を収穫する時に一旦、わざと薬を掛けて木を枯らすんだそうです。その時には、木が枯れるくらいに大量の農薬を使います。収穫しやすくなるので、人件費が安くなるんですよね。世界中でそういうことを行っている。(オーガニックの綿とそうでないものは)見た目には違いが分からないので、こういう事実を知ってからは少しでも農薬を使っていないものを買おうと意識するようになりましたね」と語ったテトラさんは、日本の麻の生産についても言及をしました。

「日本の食料自給率は40パーセントと言われますが、服に使われる綿・麻・絹の自給率は1パーセント以下です」との発言には、会場から大きな驚きの声が上がりました。
海外のファッションブランドの人気が高く、輸入品の衣服を身につける機会も多い日本では「食料自給率」に比べると「衣料自給率」は着目される機会が少ない数値かもしれません。
しかし、衣料もまた地球環境と密接な関わりを持つ製品です。
「石油エネルギー由来の化学繊維を使わずに、布を作ることが出来る」ことと「日本には古来から、麻の栽培の伝統がある」ことの両面において、国内産の麻を使った服を着ることは、エシカルファッションを生活に取り入れる手段の一つとして魅力的と言えるでしょう。


雨宮は「仏教の言葉に“おかげ”というものがあります」と、物事の背景に思いを馳せることの大事さを語りました。
テトラさんが「“おかげさま”のおかげ?」と聞くと、雨宮は「“おかげさま”と言いますよね。助かりましたというような意味で」と言い、言葉のルーツを説明しました。

「おかげというのは、“背景”を指しているんですって。例えば、僕らはお父さん、お母さんが居て、おじいちゃん、おばあちゃんが居て、更にそのお父さんとお母さんが居るわけじゃないですか。人物の背景には、そうした影があるんですね。それを認識するのが“おかげさまで”ということなんです。“おかげさま”について考える。“消費の物語”について考えるということが、エシカルに近いのかもしれないと思いました」
一つ一つの製品は、単なる消費物なのではなく「物語」を持つものであると捉えてみると、買い物の仕方は変わるのかもしれません。

参考資料
:BTコットンが自殺に追い込む事実 http://noc-cotton.org/report/?p=2885

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高野孝子 ―― 人間はこれだけあれば、生きていける


この日の最後のゲストは、女性冒険家の高野孝子さん。1995年に北極海を犬ぞりで横断した経験などをもとに語られる極限状態のエピソードは壮絶ながら、その語り口は温和で、テトラさんも雨宮も聴衆も釘付けでした。

小学校三年生の時に、初めて一人で他の街に行ったというエピソードを後に冒険家となる上での原体験として語った高野さん。
「全部(三年生の時の体験の)延長線上にあると思っていて。知らない街に行ってみたいという好奇心は、子供の頃からずっとあります。(大人になり)初めて親元を離れ、一人暮らしを始めると一人でも安全に暮らしていけるという自信がつくじゃないですか。なら、日本を出ても安全に暮らしていくことが出来るんじゃないかと考えたんです。電気がなくても、暮らしていけるんじゃないかなって」

電気のない、サバイバルに近い環境で初めて時間を過ごしたのは、イギリス発祥のとあるプログラムに参加した大学院生の時だったとのことです。当時23歳だった高野さんは、オーストラリアに出向き、何もない砂漠地帯で10週間生活したそうです。
「(他のプログラム参加者と)“どうする?”という話になり、まずシェルターとなるテントを作りました」と語る高野さん。実はテトラさんと高野さんは、一歳違いです。(※高野さんは1963年生まれ。テトラさんは1964年生まれ)
「人間って、これ(※最低限のもの)だけあれば生きていけるんだ」と気づきを得たという高野さん。
水流を探したり、現地の人々が食べていたという蟻を口にしたエピソードを聞いたテトラさんは「23歳の頃、自分はそういう生活は出来なかったですね」と、感動を覚えた様子でした。

そんなテトラさんが人生の転機を迎えたのは、1995年にアマゾンに出向いたときのことでした。
高野さんもアマゾン川を下る冒険をしたことがあるそうで、話はアマゾンの生活へと展開しました。
「スペイン人がやってきてインカ帝国が滅びるときに、インカの人たちが最も重要な宝をアマゾンの奥地に埋めたと言われているのですが、その宝というのは巨大な円盤なんですよ。直径十二メートルくらいの円盤で、インカの人たちは時間や空間を超えるためにそれを使っていたそうです。そういう伝説を聞くと、僕はその円盤をUFOだと思っちゃうんですよね」

一年に一度の祭りの度、一本だけ糸を使って布に針を入れ、二百年から三百年という時間を掛けて巨大な刺繍を織り上げるというインカの人々。最後の一本が縫われて、刺繍が完成するとされていたタイミングがなんと1995年だったそう。
刺繍の完成を祝する祭りで時間と空間を超える円盤が掘り出されるという話を聞きつけたテトラさんは、アマゾンに渡ったとのことです。

現地の民族であるケロ族のイニシエーションを受けなくては、円盤のある土地には入れないと通告を受けたテトラさんは、アマゾンで過酷な儀式に参加し「いままでのお前は死んだ。これでお前はケロの一員だ」と許可を得て、円盤があるという森の奥に入っていきました。

ケロ族の洗礼を受けたことで「日本でケロ族として生きること」を強烈に意識するようになったテトラさんは帰りの飛行機の中で涙が止まらなくなり、帰国後にはそれまで放送作家として制作していたお笑い番組などが作れなくなったそう。
こうした体験を経て、テトラさんは環境問題をテーマとした番組制作を行うことを決意したと言います。

テトラさんと高野さんの話を受け、「この世代は旅好きが多いですよね」と雨宮が口にすると「そんな気がしますね!」と深く同意した高野さん。
高野さんが北極を横断した時期は、ちょうどテトラさんがアマゾンに居た1995年。同年代の二人が同じ時期に日本を離れ、全く異なる文明の中に身をおいていたというのは興味深い事実ではないでしょうか。

朝起きて、ご飯を食べて、Tシャツを着て、銀行のATMからお金を引き出して職場や学校に向かう。
こんな何気ない日常の一つ一つの場面にも、その裏には「お米を作った農家の人」や「Tシャツの綿を作った農家の人」「預けたお金を運用している銀行の人」が居ます。
預けたお金がどのように使われているのか?
Tシャツの元になった綿花は、どのように栽培されていたのか?
モノを買うと、その利益が企業に渡ります。利益を、企業はどういう用途に使うのか?
是非そうした小さな問いを頭の片隅に浮かべ、日常生活を過ごしてみてください。
「自分にとっても、そのモノを作った人にとっても、地球環境にとっても嬉しい循環とは何だろう?」と考えてみると、もしかしたらいまとは違う商品やサービス、ライフスタイルが魅力的に見えてくるかもしれません。

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