西伊豆で開催されたインド古典とスオミトランスのパーティー「Dance of shiva」のオーガナイザー梅原さんにお話を伺いました!
「Dance of shiva」のレポート記事はこちら
Dance of Shivaが生まれたきっかけ
ーーこのパーティーはどうして始まったのですか?
僕はスオミトランスとインド古典が現世でない世界に精神が繋がる音楽だと信じていて、それのパーティーをやりたかったっていうのがダンスオブシバを始めたきっかけなんだ。
だから精神性が重要なんだよね。例えば、このパーティーには一切広告がないでしょ。ただそこに美しい音楽があって友達がいてっていう場をつくりたかった。ただ安心して遊べる環境を作りたかったんだ。
ぼく普段はインド雑貨屋やってるんだけど、最初はどうやってパーティーを開催すればいいか、わからなかったんだよ。
経験のある友達に聞いたら「お前が好きなことを全力でやればいい」と言われて、スオミトランスとインド古典が好きだなぁと思ってやり始めたんだ。
ーーインド古典ってあまり聴いたことなかったのですがさっきの人たち(Salil Bhattさん)すごかったです。
あれは全部即興なんですか?
そう。インド古典は全部即興なんだ。
古典っていう名前がついているけど、インド古典はステージの上でいつも新しく生まれる、一番フレッシュな音楽なんだよ。雑な言い方をすると…文法が違うジャズみたいなものかな。
あの人たちは3歳から練習をしていて親の血筋を引いているんだけど、元々、僕はお父さんの音が大好きで毎日毎日聴いてたんだ。結局彼を呼ぶことは叶わなかったのだけど、その息子を呼ぶことができて感無量だね。
全力でハグできる友達が集まる幸せ
——ダンスオブシバは今年で最後だと伺いました。まだパーティーは終わっていないですけど
そのなかで今感じる幸せみたいなものってありますか?
この規模での開催は今年で終わりです。
自分たちが一番幸せな場所は自分の手でしか作り出す事しかできないし、でもそれは自分たちで作れるものだから作りだしたいよね。
なんでこの規模をやめるかっていうと…日常というのがあるじゃない。何もなければ日常は平坦なんだけど、ぼくらはその日常の中に楔を打ち込みたいんだよ。パーティーって言うもので平坦な日常を特別な日にしたい。
でも中途半端な準備じゃ特別な日はやってこない。今もてる力の全てを注ぎ込まなきゃ特別な日はやってこないんだ。特別ってそういう事じゃない?
んで、今回のパーティーでは持てる力を全部使って開催したんだけど、もう、これ以上のことはできないんだ。
これ以上、特別な日を作ることが今はできないんだ。
それぐらいの熱量を持ってこのパーティーをやっているんだよね。
——完成したと。
そうだね。最終型のパーティーだと思うよ。
でも僕らが所属しているこのコミュニティ自体はすごくいいコミュニティだから、みんなが無理なく遊んでいける仕組みは思案しないとなぁと思ってる。
今の現代社会で、何かの特別なコミュニティには所属できる人たちは実はごく少数なんだと思うのね。例えば学校の同窓会とか会社の先輩とかいるだろうけど、なんかこう…全力でハグできるような相手じゃないよね。でもパーティーをやっているとぼくらには全力でハグできる相手がいて、全力で泣ける相手がいるわけだよ。
それは激しく幸せなことなんだ。
僕は、コミュニティのためにといいつつ、最終的には自分のためにやってるんだと思う。
——確かにそれは幸せこの上ないことですね。ちなみにぼくはフェスという言い方でイベントをやっているんですけどダンスオブシバはパーティーという呼び方にこだわっている気がします。そこの違いってどういうところにあるんですか?
ぼくはフェスを一般のお客さんを相手にするものだと思ってるんだ。要は商業的にやるもの。なんだかんだ言って、最後にお金が来るもの。
パーティーは自分の身の回りの友達を相手にするもので、最終目標がお金じゃないんだ。もちろん納得できるイベントにするためには収支も大事だけど、まずはみんなが楽しんでくれることが大事なんだ。
——なるほど、、ぼく今25なんですけど自分の知り合いのなかでダンスオブシバに何年も行っていた人がいて、その人はシバの世界観に衝撃を受けて本当にやりたいことを探して起業したって言っていました。
マジで!それは嬉しいな。 ぼくの知ってる中でもシバで出会って結婚したっていう人が何人かいるんだけど、生きてる中で人に影響を与えられるって、人生の最大級の喜びの1つじゃない。だからそういうのやれてよかったなぁって思うよね。
——そういう話があるとやっぱ来年もやりたくなってきませんか?
そうだね、体力的にも限界だとは思うんだけど「ねぇ、もう一回やってよ」って声もあるわけだけど、でもまずは日常に戻るかな。パーティーは夢で、きちんとした夢を見るためには、きちんとした日常がある必要があってね。
ぼくは会社の社長でもあるんだけどパーティーばっかやりすぎたのもあって、一度現実に足をつけたいなと。パーティーは楽しすぎるから、普通の生活が食われちゃうんだよ。2000年位から色々なパーティーオーガナイザーを見てきているんだけど、みんな、大きな借金を抱えてやめていく運命になってる。
パーティーは幸せなギャンブルだから…。自分の家族や会社がパーティーに食われる前にまずは地に足をつけないとって思っているんだ。
——最後に1つだけ伺わせてください、「Dance of Shiva」はどういうパーティーだったのでしょうか?
愛に溢れたパーティーだったと思います。 何人もの人たちがここで出会って結婚して、泣いて、笑って、すごくよかったと思います。ちょっと文字にすると恥ずかしいんだけど(笑) みんなと一緒に過ごしてきたパーティーだったと思います、昔からのパーティーの流れがあって、そこで出会った友達がバンドやってくれてたりとかスタッフやってくれてたりとか、人間関係が色々移り変わっていく中で、そのなかで漫然としたコミュニティがあって、それをきゅっと結びつけることができていてよかったなぁと思う。