レポート

【レポート】皆既日蝕フェス「Oregon Eclipse」へ行ってきた。

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こんにちは。あめみやゆう(@amemi_c5)です。

8月17日~25日まで世界各国のビックレイヴが集結した空前絶後の皆既日蝕フェス

「Oregon Eclipse」に参加してきました。

そこでの体験はあまりに代え難く、言葉に落とし込んで概念の枠に当て嵌めるのをためらうほど

神秘的で優しい体験をしてきました。こんなフェス日本で実現する日は来ないんじゃないかと思いながらも少しでも記憶に残しておきたく写真をたくさん撮ってきたので、それと共にフェスティバルの模様を振り返ります。

(Photo by Get Tiny Photography)

会場はアメリカオレゴン州のオチョコ国立公園。

大阪市と同じくらいの敷地面積があるらしく、ポートランド空港から5時間かけてバスで向かいます。

行きのバスはパーティー仕様。スピーカーやグラスも入っていて到着までほぼずっとパーティー。

来場者層でいうと欧米の人たちが多いですがアジア、アフリカ系もちょくちょくいて、特に日本人は多かったです。

このバスでたまたま出会った日本人女性のあっちゃんは、行きの時点でロストバゲージしたらしく片手にヤギのぬいぐるみだけ持ってました。(生きていてメスみたい)ここから5日間のサバイバルどうするんだろうと聞いたら踊りつづけるみたいでした。もう日本には帰らないらしいので、海外のレイヴでヤギを見たら彼女だと思ってください。

オレゴンはめちゃくちゃ乾燥していて、雨もほとんど降らないみたいなので日蝕の観測地点としては最適。行きに見たサンセットも綺麗でした。

到着は深夜の2時。キャンプサイトは端から端まで歩くと2時間くらいかかる広大なフィールドでしたが、その後先に車で会場入りしていた友人2人と合流できてキャンプイン。しかしあっちゃんはいつの間にかヤギをおいてフェードアウト。その後フロアで何回か出会いましたが、いろんなテントを放浪してるらしく、元気でした。

会場は昼は27度ほどで日差しがとても強く、夜は5度まで下がります。

乾燥がひどく、地面は割れて砂嵐も度々巻き起こります。リップクリームと口と鼻を隠す布は必須です。

電波も一切届かない場所なので仲間との連絡手段は伝言板。(Fire chatも使えませんでした)

ステージはカリフォルニアの「Symbiosis Gathering」を中心に
・「Beloved Festival」(オレゴン州)
・「Hadra」(フランス)
・「Ometeotl」(メキシコ)
・「Rainbow Serpent」(オーストラリア)
・「Sonic Bloom」(コロラド州)
・「Universo Paralello」(ブラジル)
・「Bass Coast Festival」(カナダ)
・「Envision Festival」(コスタリカ)
・「Origin Festival」(南アフリカ)
・「Re:birth Festival」(日本)
とコラボしていて、1つ1つのステージがものすごいクオリティ。

音楽はサイケデリックトランス、エクスペリメンタル、テックハウス、ミニマルテクノ、オルタナティブロック、ジャズ、カントリー、アンビエント、様々を網羅していて、それぞれのステージに「sun」「earth」「moon」「sky」など自然や惑星の名前がつけられていました。

こちらはサイトランスのSun Stage。日本人が多いのはここでした。

チルアウト、オルタナティブがメインのEarth Stage

ヒップホップ、ダブステップ、サイケデリックなどオールジャンルなMoon Stage

テクノ、ハウスがメインのSky Stage

最も巨大なEclipse Stage

その他にもたくさんのステージがあって、これは確かMeditation Stage

これはヨガステージで歌うヨガ、キルタン中。

ミュージカルも行われ

湖畔にもDJブースがありボートでぷかぷか遊んだり

ダンスのワークショップをしてたり

世界各国のシャーマンのセレモニーをうけたり

気球に乗ったり

泥だらけになったり

ブランコしたり

絵を描いたり

パーマカルチャーのコミュニティスペースがあったり

シルクロードがあったりします。

なかでもここは自分の一番のお気に入り「sound immersive experience」。湖畔の近くでサウンドメディテーションができるブース。

銅鑼やクリスタルボウル、ディジュリドゥなどの倍音楽器でブースを囲みたぶんものすごく緻密に計算された周波数でめちゃくちゃに癒されます。

自然素材や廃材を使ったアートの数々も美しく

上はホールトマトとかいれる缶を使ったタワーで、風鈴のような機能で癒してくれます。

デコレーションに廃材を使うことはもう向こうでは当たり前なのかもしれません。

水もウォーターステーションが各地にあり、参加者はマイボトルに水を入れていきます。フードブースの食器も基本的には使い回しで、バスもバイオディーゼルをエネルギーとしていてSDGs12の精神がCoolなものとして根付いているようでした。

そして3日目のAM10時半頃、いよいよ皆既日蝕を迎えます。

テンプルにハンモックをつけて準備万端な人もいましたけどこの人はどうやって降りたのだろう。。

以前一緒にお仕事させてもらったとき、会えたらいいですねなんて話していた高城剛さんとも奇跡的に会えました!

ソーラーテンプルに人が集まり、世界中のシャーマンが中央からメッセージを唱え、徐々に気温が落ち、日光量が減り、一点を見つめながら人々のバイブスは高まり続け、やがてなんとも形容しがたい圧倒的な自然現象が訪れます。

皆既日蝕はほんの1分ほどの出来事。開いた口が塞がらないという体験を初めてしました。こんなことがまだ世界にあったなんて知らなくて、太陽と月と自分が1直線に並び、陰と陽の調和を肯定するように空は色を変え、声にならない音を全ての生物が発していました。

皆既日蝕以降、すべてが満たされたような気分になっていて、みんな何かが変わったっていってたけど、何が変わったかは皆よくわからなかったのです。でも恐らくそれが答えなんだと思います。

人生はたまに思いもよらぬものに出会ってしまう時があって、その時ぼくらは何が起きているのか言語化して理解を試みるけど、理解できてしまった途端に、それ本来の価値は損なわれてしまうのだと思います。

それだからぼくらは絵や音楽などの芸術や、踊りやセレモニーを通して、言葉にできない何かの伝承を試みます。フェスティバルというのもきっとそうで、言葉にできない、もしくは言葉にしても伝わらないメッセージを、オルタナティブな生活体験によりいつもと少し違うコミュニケーションを生んで、新しい文化をハレの場から伝承していくものです。

日蝕後の夜には日本のジャムバンドDachamboがEclipse stageに出演。最高のグルーヴで初めて見た人からも大好評でした。

夜の湖ではブラスバンドのジャズライブが行われていて、4つ打ちばかり聴いていたのでカウンターでめちゃくちゃ上がりました。


そして、3日目の夜には突如新たなステージが設営され、サイケデリックトランス界の生ける伝説「ゴアギル」が登場。

24時間ぶっ通しのプレイが始まります。音源はカセットテープを使っていて、お香を焚いたりみんなの写真を撮りながら時折優しく微笑みつつ、BPM160を超えるであろうクレイジーな楽曲を繋いでいきます。

会場にはなぜか大仏がいましたがゴアギルはフロアのすべてを悟っているかのように曲を繋ぎ、伝説たる所以を垣間見ました。

その後も不思議な時間を過ごしました。パイナップルのTシャツを着た人がスピーカーに寄りかかっているステージの横のステージでは

なぜかパイナップルを片手にスピーカーに乗っかって踊る人がいるというシンクロニシティーが起きたりとか。

謎の自作円盤を胸に覚醒している人がいたりとか。

そんなこんなでフェスは少しずつ終わりを迎えていきます。

これはテントがお隣だったパブロと撮った写真。彼はサイトランスのコンポーザーでヴィーガンで、父親がネイティブアメリカン。現地にいかないとゲットできないキューバのプレミアコーヒーを振舞ってくれたり、色々なケアをしてくれてとても優しくていい人でした。

会場中では「How’s it going?」「Amazing!」なんて会話が至るところで飛び交っていて、フロアでは水や食べ物を持った人がみんなに振舞っていて、マッサージとか音楽とか無償でギブしていて、すれ違うみんなが目が合うと微笑んでくれたり、声をかけてくれたりしました。お互いを高め合うこと、ケアしあうことがどれだけ大切なことなのかよくわかった気がします。

身近な人を大切にすること、自然のままでいること、そのために体の状態を整えること、彼ら彼女らと共に過ごした時間のなかで本当に大切なことをいくつも学びました。

フロアの音楽が少しずつ鳴り止んでいくのでチルアウトできる場所を探していたら、ある1つのブースでたぶん同じくチルアウトな場を求めて彷徨っていた人たちが1つのクッションに身を寄せ合っていました。ある人はスチールパンを演奏していて、ある人はお茶を振舞っていて、ある人は思うままに歌を歌っていて、何も持ってない人も身を寄せ合うなかでエネルギーを与えていて、もちろんみんな知らない人同士ですが、できることをギブしあって即興で最高のチルアウト空間がつくられていました。

しばらくして最後に「Nice to meet you」ってみんなでそれぞれハグをして別れていったのですが、それくらい相手が誰だとかは重要じゃなくて、もっと深いところで繋がっている関係性がこのフェスティバルには前提としてあるなぁと思いました。

入場時に渡されたリストバンドにはフェスの名前より大きく「ALL ONE」と書いてあって、まったくそれが全てでした。

帰りも5時間ほどバスを走らせポートランド空港に到着。見慣れているはずの白や灰色の建造物が異様に無機質に見えて、なんだか自分がどこにいるのかしばらくよくわからなかったのでした。

フェスとソーシャルデザインの交差するところ

そんななか、こちらの記事でも書いたようにSEX PISTOLSのプロデューサー 故デイヴグッドマンがグラストンベリーフェスティバルについて語った時の言葉を思い出しました。

グラストンベリーを3つの言葉で表すなら「サイケデリック」で「レインボー」で「教育的」だね。

音楽は神秘的な部分を呼び起こすもの。祭りのなかに必要な要素がすべてある、それはすべて自然に調和している。

楽しみながら持続可能な社会をつくっていく。

フェスティバルカルチャーの元祖たるグラストンベリーのカルチャーは今も確かに生きていました。

SDGsをはじめ多くの課題を動かしていくために必要な動力源となる体験もここにはあります。何より、もし日常でもこんな愛あるコミュニケーションが溢れ、自由な生活様式が保障され、平和で神秘的な日々が訪れるようならそれは今より素晴らしいなと思えるから、途絶えないようにしっかり継承して更新していきたいなと改めて思いました。

ちなみに次のEclipse Gatheringは2020年、パタゴニア。(南アメリカ大陸の南緯40度付近を流れるコロラド川以南の地域の総称。アルゼンチンとチリの両国に跨る。)日蝕自体は年に1,2回ほどどこかで見れるのですが、部分日蝕だったり、見れる地域が海だったり、冬で曇りがちだったり、今回みたいに完璧なシチュエーションで見れることは少ないようです。

日本で見られるのは2035年!季節もばっちりで、こんな体験が日本でできる日が来るかもしれません。Stay tuned!

 

あめみやゆう(amemi_c5)

 

クラウドファンディング挑戦中!

 

 

 

 

あめみー

あめみー

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92年生まれの水瓶座。Ozone合同会社代表/Oxygen編集長/DJ。
ソーシャルフェス®といってSDGsが終わったあとの世界をフェスにする活動してます。無音のフェス「サイレントフェス™」や量子力学的フェス「Quantum」などなど全国各地でプロデュース。猫背。歯医者が怖い。

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